僕は30センチの竹尺を持ってメルマガを書いている気がします。
「いまむら」さんは巻き尺を持ってますよ。ぜったい・・。
■「今日のいきぬき」:いまむらさん
http://www.est.hi-ho.ne.jp/imacha
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【1】「平田さんのそうじ(1)」
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「どうだい日本は? 何か質問はないかい?」
と廊下で、僕は問いかけました。
平田さんはブラジルからの転入生です。
僕が勤めている小学校の6年生に転入してきて3日がたっていまし
た。
彼女自身はずっとブラジルで育ちました。
でも、日本語は大丈夫。
ブラジルにいてもお家の中では、日本語も使われていたからです。
「先生、不思議なことがあります。」
彼女は真剣な眼差しで僕を見ながらつづけました。
「なぜ、日本の学校では子どもに掃除をさせるのですか?」
意表をつかれた僕は逆に質問しました。
「えっ、ブラジルでは子どもが掃除しないの?」
「はい、私たちは学校に学習に行きます。
掃除を習うために行くのではありません。」
「へぇ、では誰が学校の掃除をするの?」
「掃除会社の人が来て掃除をします。」
僕は子どもが学校の掃除をすることは当然だと思っていたのです。
「うーん、学校で自分が汚した分は自分が掃除するのは当然だと
思ってたんだけどなあ。」
「では先生、図書館や美術館でも利用者が掃除をするのですか?」
「いや、そうじゃないなあ。」
「では、学校だけが特別なんですか?」
「学校では掃除をすることによって協力や物を大切にする気持ちな
どを身につけようとしているんだ。」
「先生、そのような気持ちは掃除をしなくても身についているはず
です。
家庭や教会で学んでいます。
日本の学校は汚いです。
ゴミが多いです。
結局、自分が掃除するんだから汚してもいいと思っているからじゃ
ないですか。
ブラジルでは掃除をする人が困らないように、なるだけ汚さない
ようにしました。
だから、きれいでした。」
僕は、まいったなあと思いました。
そして
「外国はすごいなあ。
日本の子どもが外国に行ってこれだけ意見を言えるかなあ。」
とも思いました。
なんか、平田さんに押されちゃって「平田さんイコール外国の代表」
そんな感覚になってしまったんだと思います。
周りで僕と平田さんのやりとりを聞いていた子ども達も驚いたよう
でした。
「平田さん、すごーい。」
感嘆の声があがりました。
その声に、ますます押されちゃう僕。
そんな時、物まねの上手な植田君が政治家のような口調で言ったん
です。
「さて、先生がお困りのようですから、私がかわりに申し上げまし
ょう。おっほん。」
平田さんだけじゃなく、周りの子も、僕も植田君に注目しました。
植田君は
「ちょっと待っててね。」と言って教室に入っていきました。
その(2)につづきます。