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   「あなたは知らないでしょう」

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「期待される子ども像」・・。

 

この言葉をご存知ですか?

 

「めざす子ども像」・・なんて言われ方もします。

 

学校現場で使われる言葉です。

 

まず、学校は、子どもたちに、こうあってほしいという姿を作りま

す。

 

たとえば。

 

「すすんで学ぶ子」

「最後までやりぬく子」

「助け合える子」

 

・・などなどです。

 

それが「期待される子ども像」なのです。

 

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先生は、その姿の実現のためにいろんな手立てを考え、努力してい

きます。

 

授業も、生活指導も、クラブ活動も。

学校で行われる活動の全部が全部、その手立てのひとつなのです。

 

学校はそういう行政機関です。

 

まず、子どもに期待する・・。

 

それが、学校教育のスタートです。

 

いえ、学校だけじゃないですよね。

 

社会もそう。

 

家庭だって、そうかもしれないです。

 

まず、大人が子どもに期待をする。

 

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ということはです。

 

子どもは何をするのか、ということが明らかになってきます。

 

子どもは、期待に答えようとする。

 

これなのです。

 

つまるところ・・。ですよ。

 

大人が子どもに期待し、子どもは答えようと努力する。

 

それが、教育だったんです。

 

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逆だよね。

 

僕は、そう思います。

 

期待するのは、子どもの特権です。

 

子どもが、大人に期待をする。

 

これが自然なんじゃないかな。

 

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子どもにとって、大人は自分の未来を見せてくれるタイムマシンと

なりえます。

 

ならば。

 

ならば、子どもたちが、未来に期待する、あるいは、将来に夢を持

つ・・。

 

そういうことの第一歩は、大人に期待すること。

ではないですか?

 

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学校も、社会も、そして家庭も。

 

まず、子どもたちからの期待を背負うところからスタートしなおし

たらいいんじゃないか。

 

僕は、そう考えています。

 

君たち・・。

 

君たちは、どんな学校であってほしいかい?

どんな社会であってほしいかい?

どんな家庭であってほしいかい?

 

そして、どんな大人であってほしいかい?

 

そういう問いかけから始まる教育。

 

期待されるのは子ども像ではなく、大人像・・。

 

 

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1992年。

リオデジャネイロで行われた地球サミット。

12歳の女の子が語りました。

 

ご存知の方も多いかと思います。

 

僕にとって、それは、大いなるコロンブスの文となりました。

 

セヴァン・スズキさんのスピーチの一部です。

 

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オゾン層にあいた穴をどうやって修理するのですか?

 

あなたは知らないでしょう。

 

死んだ川にどうやってサケを呼び戻すのですか?

 

あなたは知らないでしょう。

 

絶滅してしまった動物は、どうすれば生き返るのですか?

 

あなたは知らないでしょう。

 

砂漠となってしまった場所は、どうすれば森としてよみがえるので

すか?

 

あなたは知らないでしょう。

 

どうやって、直すのか・・。

あなたが知らないものを、壊し続けていくことをやめてください。

 

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(了)




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