●「少年院のこと(2)」
前回は、僕が少年院の面接員をやってみないかとお誘いを受け、
「よし、やってみよう」と決めたところまでをお話ししました。
家族は心配していたんです。
「恐くないの?」
そんなふうに。
これね、多くは『あしたのジョー』っていう漫画に関係しているんです。
僕と同じくらいの年代の方なら、ご存知でしょ。
大人気のボクシング漫画でした。
そうそう、もう一つありました。
『男一匹ガキ大将』。
こちらも、大人気の漫画です。
両方の漫画の中に、少年院が出てくるんです。
その様子がひどいんですよ。
ケンカあり、リンチあり。
もう、暴力のオンパレード。
子どもの頃に、そんな漫画で育ってきた僕らには、少年院=暴力って図式が刷り込まれていたんです。
でもね。
だからこそ、かもしれないんですが、やってみたかったんです。
そこには、50歳を迎えようとしている、僕の、独りよがりの使命感があったと思います。
なぜだかは、わからないけれど、僕に声をかけていただいた。
もしかすると、これが天命ってものかもしれない。
そんな、なんていうかなあ、勝手な大げさな思い込みもありました。
もちろん、ありがたさという嬉しさも・・。
もっとも、不安も大きかったんですよ。
少年院の子どもたちは、なんらかの罪を犯しているわけです。
それも、少年院に入らなければならないほどの。
いろんな、あつれきや、辛さ、哀しさをきっと抱えているでしょう。
そんな経験、僕にはないわけです。
周りにだって、教え子にだって、そんな経験者はいない。
ゆるやかな、おだやかな人生を送ってきていたんです。
僕は、人生の耐久テストを受けてないんですよ。
カウンセリングだって、未経験。
そんな、僕に、何かができるの?
面接と言ったって、どんな話をすればいいの?
そんな不安は、山ほどあったんですがね。
でも、50歳っていう節目の年齢は、やっぱり、背中を押すんです。
・・・。
少年院は、車で15分の場所にあります。
けっこう近いんですね。
人里離れたってわけでは、もちろん、ありません。
市内の動脈ともいえる大きな道路の側にあり、交通の便もかなりいい。
また、高いコンクリートの塀に囲まれているわけでもない。
明るい近代的な建物で、大きなグランドもある。
その様子は、開放的ですらあるのです。
あしたのジョーとは大違いなんですよ。
そこには、パソコン学習室や、陶芸室、木工作業室までありました。
職員の皆さんは、きわめて、優しい、そして、明るい。
自分の偏見が、つくづく嫌になりましたねえ。
・・・。
こうして、複雑な緊張感の中で迎えた初めての面接。
面接室のドアを開けた僕の目に、椅子に座って背筋を伸ばしている少年の背中が映りました。
ある意味で、僕は、自分の人生が試されるのかな、そんな思いが胸に浮かんでいました。
(つづく)
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