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【1】「油断しないこと」-2001/03/28-
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部屋の蛍光灯がチカチカし始めました。
2灯セットの両方ともがチカチカです。

「換え時ねえ。えっと何ワットだったっけ?」と妻。
僕は、いすにのって蛍光灯のワット数表示に目を凝らしました。

「うーん、32と40だってさ。今日買ってくるよ。」
こう言って、僕はふっと思い出した言葉があります。

「油断しないこと」・・。
これが僕が思いだした言葉です。

僕が小学2年生の時ことです。
かなり時がたってしまったので細部までは覚えていませんが・・。
僕の大好きだった先生とのやりとり、そして表情はしっかり覚えています。

算数のテストがあったのです。
こんな感じの問題でした。
「30このだんごがあります。
 8こ食べました。あとなんこ、のこっていますか?」

僕は「しき:30−8=22 こたえ:22」と書いたのです。
確かめ算もして自信満々なわけです。

何日かしてテストが返ってきました。
「しき:30−8=22」には丸がついてきました。
けれど、「こたえ:22」にはバツがついてきたのです。

そして、先生の朱書きがありました。
「さいごまで、ゆだんしないこと」と。

僕は「ははあ最後までか・・。」と思い、やり直しを提出しました。
「こたえ:22です。」と「です。」を付け加えて書いたのです。
先生は、にこにこしながら言いました。
「なるほど、こう考えたのか。おしいなあ、意味がちがうんよ。
 正解は22個やのん。君のには個が書いてないんや。
 やから、22人かもしれんし、22匹かもしれんよ。
 これからは、油断せんごと、気をつけるんやね。」

要するに単位が書かれていないということなのです。
それで、「油断するな」なのです。

「何ワット?」と聞かれて「32と40」と答えられる日常。
「僕も、もう41やからなあ。いい年のおっさんやなあ。」と言える日常。
「何個ですか」と聞かれて「22」では「22人かもしれんよ。」と言わ
れてしまう学校、また言わなければならなかった先生。

「油断しないこと」という言葉は学校教育の本質の一端を見せてくれるよ
うな気がします。

油断したいなあ・・。

(了)



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