*********************************************************
「ぽとり」・・・・・・はじめに
*********************************************************


はじめまして。
発行人の「はいつ でこ」です。

皆さん、好きな言葉ってありますか?

好きなおかず、好きな音楽、好きな本。
好きな映画、好きな人。

僕、そんなこんなは、パッと浮かぶんですね。
瞬時に答えが出ちゃいます。

でも・・。

でも、「好きな言葉」となると、つまっちゃう。
あれっ、そんなこと考えて、いや、感じてこなかったなって・・。

それで、僕、今まで自分で作ってきた「おはなし」を振り返ってみたんです。
「作ってきた」って言っても、娘や息子の子守歌代わりに話してきただけのものなのですが・・。
まあ、とにかく、思いつくままに、いくつかを文にして読み返してみたんです。

そしたら・・。

そしたら、ある言葉を、何度も使ってることを発見したんです。
テーマも場面もまったく違うのに、使ってたんです、その言葉。

意識はしてなかったんだけど、きっと、それが、一番好きな言葉なんだなってわかった気がしました。

その言葉が「ぽとり」でした。

「夢」とか「未来」、「希望」なんて言葉じゃなくて、「ぽとり」だったんです。

「ぽとり」
もちろん、何かが落ちる場面に使った言葉です。
なんだか、ちょっと変な感じでした。
でも、あらためて声に出してみると、これが、僕にはなんともステキに響くんです。
「ぽとり」
 

僕は、この個人文集を「ぽとり」と名付けます。

僕が子ども達に話してきた「おはなし集」です。
 

こうして、読んで下さった皆さん。
何かのご縁です。
どうぞ、よろしく、おつき合い下さいませ。

もし・・。
もし、僕のおはなしが、誰かの心にぽとりと落ちることができたとしたら・・・。
こんなに、贅沢で幸せなことはありません。

ではでは。

*********************************************************
(1)「僕のぽとり」
*********************************************************

ぽとり。

涙がひとつ落ちた音。

枯葉にまぎれて落ちた音。
 

ぽとり。

今度は僕が落ちた音。

涙の池に落ちた音。
 

音もなく

光も届かぬ

池の中。
 

そして、僕はメダカになった。

枯葉と遊ぶメダカになった。

「ぽとり」で始まる物語。

それが、僕の物語。



目次へ