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「かんちゃんのクリスマス」
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クリスマスが近くなったある日のことです。

ツリーの飾り付けをしながら、チャコ先生が聞きました。

「かんちゃんは、サンタさんに何をお願いするの?」

かんちゃんは言いました。
「あのね、まだ、決めてないの。センセはもう決めたの?」

先生は少し考えてから言いました。
「うーん・・。そうだ。先生はソファーを頼もう。」
先生は子どもの頃からソファーにあこがれていたのです。

かんちゃんは目をクリクリさせて言いました。
「だめだよ。ソファーなんて・・。」

先生が不思議そうな顔で聞きました。
「なぜ?
  なぜソファーはだめなの?
  とってもほしいんだけどなあ。
  先生は、いたずらもしてないし、うそだってついてないよ。
  それでもだめかしら?」

「だってさ。入らないんだもん。」

「えっ?入らないってどういうこと?」
先生はもっと不思議な顔をしました。

「入らないよ。
  くつ下の中に。
  あのね、くつ下に入りきれないような物を頼むとサンタさんが大
  変だよ。
  いくら、おりこうでも、欲張りはだめだよ。」

先生は、はっとしました。
そして、なんだか、うれしい気持ちになりました。

「そうか、そうか。
  それで、クリスマスには、くつ下をさげるのね・・。
  かんちゃん。
  先生、初めて知ったよ。
  そうか、それでくつ下なのか・・。
  ありがとう、ありがとう。
  かんちゃんありがとう。」

3回もありがとうを言った先生の顔にツリーライトが映り、キラリ
と光りました。

かんちゃんの顔もキラリと輝きました。

「かんちゃんのクリスマスは素敵なクリスマスだな。」
先生はそう思いました。

雪がふわりと降り始め、はく息が白くなりました。
てっぺんに星をのせれば、ツリーは完成です。

おわり。



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