多くの場合、その批評の対象は親なのでちょっぴり困ってしまう。
僕んちの娘もそうだ。
連絡帳に先生への手紙を書いていれば・・・。
「お父ちゃん、もっと、ていねいに字を書いた方がいいよ。
それじゃあ、先生読めないよ。」
寒い寒いと厚着をすれば・・。
「お父ちゃん、寒けりゃ、運動して体の中から暖めなよ。」
先日、朝ごはんの時に、妻が娘にこう言った。
「そんなに、モタモタせずに、もっとぱくぱく食べなさい!」
すると娘がこう返した。
「お母ちゃん、気持ちはわかるけど・・。
あんまり、あせると時間泥棒にやられちゃうぞ。」
娘の口からいきなり飛び出した「時間泥棒」・・。
ミヒャエル・エンデさんの「モモ」に出てくる登場人物だ。
社会の枠組みに縛られ、自分の時間を失っていく人間達。
「モモ」はそのようなテーマ(僕の勝手な解釈)で書かれた作品だ。
そして、そのテーマを僕と同じように娘も感じたのだろう。
この事実は、僕と妻に何とも言えない喜びを与えてくれた。
「この子は読書の中から何かを考える力がついてきたんだ。」
「僕らが味わった作品を、世代を超えて味わう娘がいるんだ。」
でも・・「モモ」のお陰で・・。
娘が僕らに出すイエローカードが1枚増えたことも事実なのだ(とほほ)。
娘よ。
「モモ」から学んだイエローカード・・。
未来の君自身に提示されないように祈ってるぞ。
これで、おっしまい。
『モモ』ミヒャエル・エンデ作/大島 かおり訳/岩波書店/1700円