方法論と結果論

 人間は変わった動物だと思う。
誰かに「お年玉あげよう」といわれて、もらった袋の中身が¥100だったら、、。
今の時代¥100くらいだったら喜ぶより、怒ってしまう。

 しかし、道を歩いていて¥100拾ったら、これは、何だか嬉しい。
思いもかけずに、にんまりしてしまう。

 両方の場合とも結果的に「¥100を手に入れた」という点では全く同価値である。
けれども、両者にはすごい開きがある。
これは、不思議だ。
きっと猫だったら、もらったサンマも拾ったサンマも同じに嬉しいだろう。(と思う。)

 人間の精神は、「結果論」で動くよりも「方法論」で動くことが多いのだろう。
精神的には「もらった¥100」は「拾った¥100」の足下にも及ばないのだ。

 だから、プロレスという最も人間ドラマを大切にする格闘技は「方法論」重視となってほしい。

 中西 学が武藤敬司のIWGPに挑戦した。
G1で優勝して、乗りに乗っての挑戦であった。
中西はアルゼンチンバックブリーカーを執拗にくりだした。
「これでもか、これでもか!!」
しかし、武藤はそれを切り返しチャンピオンの座を守った。

 敗れた中西は興奮気味に語った。
「アルゼンチンで勝たな、意味ないんじゃあぁ。」

 そう、中西にとって最大の価値は「アルゼンチンで」という「方法論」によって生み出される物だったのだ。

このことを実践している彼は、きっと、スーパーヒーローとなる。

目次へ