テレビ番組「知ってるつもり」が梶原一騎をテーマに選んだ。
「あしたのジョー」「巨人の星」という不滅の作品を生みだした彼の人生は荒れていた。

僕たちが少年時代に培った価値観の一つ「根性」、この具体像を与えたのは彼であった。
そして「純愛」これも彼の作品から学んだ部分は多い。
「根性」「純愛」、現代ではかなり風化し、喜劇的にさえ聞こえるこの言葉。

今、彼が生きていたならこの現実世界をどう受け止めていったのだろうか?

それを知る手がかりが番組中にあった。
彼が体験した酒、暴力、金、すさんだ生活。
スケールの違いこそあれ、僕らの現代社会はその縮図であるような気がする。
その中でで彼が欲したもの、理想としたものが「一家団欒」であったそうだ。

きっと彼が今,筆をとったなら「家族」という価値観を世に問うたと思う。

僕らが「ださい」とか「かったるい」とか言って捨ててきたもの。
それを、彼はリサイクルしてくれたことだと思う。

そう、漫画は時代を先取りするものでもあった。
そして放り出された価値観をリサイクルするものでもあったのだ。

漫画発展の時代に、梶原一騎が存在したこと、これがどれほど幸運であったか。
漫画はまさに千載一遇のチャンスをものにした。



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