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■漫画コラム「漫画と実写化」
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 今まで様々な漫画が映像化されてきた。
映像化には大きく分けてアニメ化と実写化、その混合の三通りがある。
実写とは実際の俳優さんが演じる映像である。

今回は、この実写化について考えてみる。

古くは江利チエミ演じる「サザエさん」、なんと、あの「鉄腕アトム」だって実写版が存在する。
最近の例では本宮作品の「サラリーマン金太郎」が実写化されテレビ放映された。
実写化に伴い、漫画ファン以外からの支持も得られ、結果的に人気の底上げがなされる。

当然、作者、編集関係者に報酬が入るだろうし、それが今後の作品への好影響を及ぼすかもしれない。
漫画にとって非常に喜ばしいことである。

しかし、しかしである。
私は、これには同意しかねるのである。
こんな”めでたしめでたし”現象に異を唱えるのは非常に心苦しいし、嫌なのだが、、。

私は漫画の魅力度は「このおもしろさは漫画でしか味わえない」と読者に思わせるかどうかに
かかっていると思っている。

テレビディレクターに
「この漫画いただき!金曜劇場の枠でいきましょ!。」
「えっとキャストは、そうそう、あの新人でも使ってみますか。」
なんて言われちゃ漫画の負けだと思ってしまう。
「こりゃあ、とても、とても演じきれる役者はいませんぜ。」と言わせることが漫画の醍醐味だと思う。

それほど魅力的な人物を描けるのが漫画なのだ。
それほどすごい現象をさらりと表現してみせるのがアニメなのだ。

飛雄馬(巨人の星)のまなじり全てをつたってあふれる涙を演じきれるものはいない。
ジョー(あしたのジョー)の片目が隠れるほどの独特の長髪が似合う俳優は存在しない。
だからこそ、私は漫画を支持するし、アニメが作り出す「味」を感性とできるのだと思う。

漫画やアニメによる表現はそこがベクトルの到達点であり、他の表現方法への道しるべではないと思う。

(了)




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