布石
みなさんは囲碁をご存じだろうか?
囲碁用語に「布石を打つ」という言葉がある。
その時はあまり意味のないように見えた1手が後になって効果を表すことを意味する。
囲碁の世界だけでなく、今はかなり一般的な用語になっている。
野球などでも「今のカーブは次のストレートのための布石ですね。」などと解説されたりする。
やられた方は「ああっ、あの1手が布石だったのか!!」と悔やんでも後の祭りなのである。
漫画のストーリー展開でもかなり布石をちりばめた作品がある。
僕もそんな作品にたくさん出会ってきた。
その出会いの時は「漫画読み」として、本当に至福の時である。
しかし困る時もある。
週刊誌や月刊誌の連載を読んでいるときに布石に出会った時である。
「あっ、これは確か、連載開始の頃のあのシーンが布石になっているんだ。」と気づいた時である。
なにせ、週刊誌や月刊誌だから、読み返したくともバックナンバーが入手できないことが多い。
単行本化されていれば、まだましだが、されていない場合もある。
こうなると、早く単行本化されることを祈るのみである。
そして、出版社の思惑通り単行本を購入するのである。
このように布石を持った作品は何度でも読み返せるのである。
1作品で何度でも楽しめる場合が多いのである。
これが、「漫画読み」の技量を高めてくれると僕は思う。
僕が読んできた作品の中で「布石3大漫画」をあげろと言われれば、次の3つをあげる。
「ドラゴンボール」「北斗の拳」「がんばれ元気」である。
どこに、どんな布石があるかは、未読の読者のために、ここではあえて述べない。
とにかく読んでいただきたい。
そして見事な「布石」をじっくりと味わっていただきたい。
(了)