「学校に行きたくない。」
そんな子どもの言葉から始まる家庭教育の独立だってあります。
僕が頂いたメールの中には、そんな経験をされた方からの実践が
あります。
今回から、その実践の中から掲載の承諾を得られた分をご紹介して
いきます。
あつしくんが通学を拒否し始めたのは小学校4年生のことでした。
お父さんからのメールには、こう書かれていました。
「妻もわたしも呆然としました。
うちの息子がなぜ不登校になってしまったのか。
なんとかして、登校できるようにしてあげたい。
いや、そうしなければいけない。
クラスの友だちが悪いのか、先生とトラブルがあったのか。
本人が悪いのか。自分たちの育て方が悪かったのか。
仕事も手につかない日々でした。」
あつしくんのご両親はあつしくんも交え、担任の先生と相談を重
ねます。
しかし、はっきりとした原因はわからずじまいでした。
原因追及の過程で、ご両親はあつしくんの微妙な変化に気づきます。
それは、徐々にあつしくんが無口になり自信なさそうな表情をする
ようになったことでした。
ご両親は考えます。
自分たちは子どもに自信を取り戻させ、学校に通えるようにしてあげ
たいと思ってきた。
しかし、それは逆に子どもから自信を奪っていくという不本意な結果
を招こうとしている。
ここで、ご両親は大きな発想の転換をされました。
「学校に行けるように自信を取り戻すのではなく、
学校に行かなくても大丈夫だという自信をつけるべきではないか。」
僕は、この発想こそ、「家庭教育・独立宣言」だと思います。
ご両親はさらに考えます。
「あつしが一番自信を持っているものは『釣り』だ。」
まず、釣りから始めよう。
おとうさんは時間の許す限りあつしくんを釣りに誘います。
しかし、お父さんは迷います。
「学校にも行かず、釣りをするような毎日が、子どもの役に立つのだろ
うか。なまけぐせのついた子どもになるだけではないか。これが教育
なのだろうか。あつしは、こんな毎日をどう思っているのだろうか。」
(つづく)