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【1】独立を意識するとき(1)  
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家庭はどんな時に学校からの独立を意識するのでしょうか?

今回は、あるお母さんのメールをご紹介します。

「こんにちは、はいつさん。」で始まるメールには、娘さんの小学
校・入学式の日のことが書かれていました。

胸をふくらませて臨んだ入学式・・・。
お母さんは、緊張と期待の交錯する目で我が子を見つめていました。

無事に式が終了し、義務教育初めての担任との出会い。
はじめての教室では、先生が、ポケモンの人形を使って、
腹話術のような感じで、子ども達にお話をしてくれたんだそうです。

「みなさん、こんにちはー!」
きっとそんな感じだったんでしょう。

そして、ポケモンに登場するキャラクターたちのことを織り込みな
がら、話を進めていってくれたんだそうです。
多くの子ども達は大喜び。

けれど・・。
そこの家庭は「ポケモン」のテレビ番組を見せていなかったのです。

娘さんに「ポケモン」を見せることは好ましくない、と判断してい
たのだそうです。

ちなみに、僕も子どもに「ポケモン」を見せたいとは思いません。

当然、娘さんは「ポケモン」をしりませんから、先生の話がわから
ない。他の子が笑う意味がわからない。おもしろみが理解できない。

それが、初の小学校体験となってしまったそうです。
隣のクラスも同様にポケモンを使っての話だったそうです。

お母さんは、このように書いていました。
「うさぎや、くまを使っての話ならわかります。
 なぜ、ポケモンなのか、私にはわかりません。
 学校は、子ども達に対して、いやなこび方をしていると思います。
 そして、全部の子ども達がポケモンを知っているはずだっていう
 考えは思い上がりだと思います。」

僕も1年生の担任をしたことがあります。
初日の出会いは、それは、それは他の学年にはない大きな思いを感
じていました。
この学校の先生達も、きっと、いろんな考えや努力で、子どもとの
出会いを演出したことと思います。

ただ、「いやな こび方」「思い上がり」という、このお母さんの
言葉は、きついけれども、僕にとっては、お母さんの辛さが伝わっ
てくるものでした。

このお母さんは、それから1ヶ月ほどして2度目のメールをくれま
した。

一部分、引用させてもらいます。

「親が真剣に子育てを考えれば考えるほど、学校とのズレが出てく
 るのだと思いました。
 子どもにポケモンを見せなかった私は不安です。
 友だちとの話ができるのだろうか、先生に対してどんな思いを持っ
 ているのだろうか、など不安だらけです。
 けれども、そんなことで不安になっていてはダメですよね。
 子どもに見せるテレビ番組を親が責任を持って決めることは大切で
 すよね。
 私は開き直りました。学校は学校。家庭は家庭。
 いまでもポケモンは見せていません。」

僕は、「家庭教育独立宣言」を聞いた気がしました。
でも、ひとつだけ気になることがあったのです。

(その「2」につづきます)



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