お母さんはショックを受けました。
子育てに良くないと思っていたものを、利用する学校。
自分がこれまで考えてきた子育ての方針と学校との強烈な
ズレ。
「学校は、子ども達に対して、いやなこび方をしている」と
お母さんは考えました。また、「全部の子ども達がポケモン
を知っているはずだっていう考えは思い上がり」とも思いま
した。
そういうメールを頂き、僕は、その思いを先生に語ってみる
ことが先決ではないですか、と返信しました。
しかし、お母さんは、僕とは違った角度から自分なりの解決
策を考えられていたのです。
一部引用させてもらいます。
「はいつさんが言われること、よくわかります。
先生に気持ちを訴えることが大切だと思います。
一方で、はいつさんが言われるように、先生方も先生方の
考えで子ども達との出会いを工夫してくれたということも
事実だと思えるようになりました。
その上で、私は先生方との根本的な違いを感じます。
今後も、きっとこのような違いはいろいろな場面で出てく
ると思います。
先生との関係だけでなく、他のお子さんともきっとズレが
出てくると思います。
これからの子どもの人生もきっと周りの人や社会とのズレ
ばかりだと思います。
ですから、いちいちそのことで話し合っていてもしょうが
ないと考えました。
それよりも、ズレがあるものと考えていこうと思います。
ズレを子どもがどう受け止めていくのかを見守ろうと思い
ます。」
なるほどと僕は思いました。
僕は、自分の教員経験から、あくまで家庭と学校の考えの違い、
方針の違いは、そのズレをなくしていく方がいいと考えていま
した。
それが前進だという考えも持っていました。
しかし、このお母さんのように「ズレ」自体を「あるもの」と
して捉え、その「ズレ」を子どもの栄養にしていくこと・・。
これも、一つの方法だなと教えられた気がします。
様々な場合で家庭と学校のズレは生まれてくるでしょう。
しかし、逆に考えれば・・・。
ズレが生じるということこそ、実は「家庭」が独立していると
いう ことの証なのかもしれません。
家庭と学校のズレ・・。
どんな小さなズレであろうとも、それに気づいた時、
その時こそ「独立」を意識する大チャンスなのだろうと思いま
す。
(了)