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僕がコラムを発信している訳

「僕がコラムを発信しているわけ」(1999/11)

 たくさん質問が寄せられました。ありがとうございます。
その中で特に多かったのが次のような質問です。
自分たちの力で教育(社会)が変えられるのか、そのために具体的に何をすればいいのか?

 僕はその答えは「ニーズを自覚すること」だと思っています。
「どんな教育を受けたい」のかをはっきりと描くことだと思います。
「どんな教育を受けさせたいのか」をしっかりと持ち続けることだと思うのです。

 明治になり学制が整えられ近代教育がスタートしました。
そして、それは富国強兵のため産業界や軍部のニーズを受けての教育でした。
だから日本の「教育を受ける権利」は庶民から欲した権利ではないのです。
ここが「言論の自由」や「参政権」などの権利と大きく違うところだと思うんです。
その教育は簡単に言うと圧倒的に多かった農家の跡継ぎ達を社員や軍人にするものだったのです。

やがて敗戦。

 今度は経済復興のための企業のニーズ(猛烈社員が必要)に答える教育でした。
結果としてエコノミックアニマルと海外で言わるような人間育成に貢献する教育でした。
わずか6歳で早朝から夕方までしっかり勉強させられ、点数で競争心をあおられ、家では宿題をさせられる。
その教育成果は思惑通り。
24時間働けますか」なんて言葉が流行ったり、昇進競争残業あたりまえの世の中ができました。
「過労死」などという犠牲を出しながら「企業戦士」育成は大成功を収めたのです。

 つまり今の教育界は、経済界に目を向けてニーズをキャッチしてきた延長線上にあるのです。
それが「日本のためになる」という判断が働いたのでしょう。

 しかしです。しかし、経済界がおかしくなってきたんです。
拡大再生産という自由競争原理の産物が崩れてきたのです。
企業は以前のようにたくさんの人間を必要としなくなってきています。
新規採用を見送る企業はどんどん増えてきました。
大企業が倒産し、リストラという首切りが進みます。
企業戦士というニーズは縮小してきました。
 また当然のことですが、時期を同じくして教育のひずみが白日の下にさらされてきました。
家庭も含め教育現場は嵐の中にいます。

 だから今、教育界は新たなニーズをキャッチしようとしています。
そして、今度は教育を受ける側にアンテナを伸ばしてきているのです。
そうでなければ、もう限界だとわかったのです。

 1世紀以上の時間がかかりましたが、やっと「庶民の欲する教育」に耳を傾けようとしています。
今がチャンスなのです。
今、僕たちは「自分のニーズをはっきり自覚する」ことが必要なのです。
そして、それが社会を変えていく原動力だと思うのです。
「○○運動」や「○○の会」などの活動に参加しなくとも強いエネルギーを持てるのです。

 だから僕は「自分のニーズ」を発信しているのです。
小さいけれど、これが僕の信じる最強の実践活動なのです。

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