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 ■■■■■ はいつの「楽しもう歴史教科書」■■■■■
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 No.9          【発行者 はいつ でこ】
      http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh8072/deko/
目次
【1】今回の発信
【2】ご意見ご紹介
【3】僕がやってるその他の活動
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パブジーン
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【1】第3章「女王の国」 その(3)「ヒミコにぴったしカンカン」
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僕は、「ヒミコ」というのは個人の名前ではなく、「ヒ」という神
に仕える「巫女(ミコ)」のことだと考えた。
では「ヒ」とは何か?
僕のかみさんは「ヒ」は「日」、つまりヒミコは「太陽」に仕える
巫女さんだと推理した。

けれど、僕はこの推理は間違っていると思っている。

それは、陳寿(ちんじゅ)さんの魏志倭人伝(ぎしわじんでん)に
こう書かれているからだ。
前にも一部紹介したが、これは多くの教科書や資料集にも載せられ
ている。
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「ヒミコは宮殿にこもり、その姿を見た者は少ない。ただ一人の男
が食事を運んだりしている。」
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もし・・・。
もし、僕が太陽に使える巫女だったとしたら・・・。
僕は、宮殿にこもっちゃうだろうか?
それで、「僕は太陽に仕えてますよ。」って言えるだろうか?
それを民衆は納得するだろうか?

相手は太陽なのである。
♪手のひらを太陽にすかしてごーらーん。
 まーっ赤に流れるー僕の血しおーー♪
の太陽なのだ。
やっぱり、ぎんぎんぎらぎら輝く太陽の下、大空に手をかかげ、祈
る・・・。
これが、太陽に仕えるための基本的な演出ではないか!
日の光をさえぎる宮殿の中にいて、太陽もへったくれもないだろう。

たとえば、宝石や鏡みたいに光を受けて輝く物を太陽のかわりに利
用したとしよう。
これを何日間か太陽の下に置いて、
「この宝石(鏡)は太陽の力を吸収したぞ。
  よって、われは宮殿にこもり、この宝石(鏡)に祈りをささげる
  ぞよ。」
なあんて言う手もあるかもしれない。

けど・・。
けど、本物の太陽は毎日、毎日、空にちゃあんとあるんだもん。
「なんで、わざわざ、かわりの物に祈るの?」ってことになるのが
人情ではないだろうか。
いや、時々なら、それもわかるけど・・。
雨降りとか曇り空とか・・何かの事情で建物の中でやらなきゃいけ
ない儀式とか・・・。
でも、食事までも、ただ一人の男に運ばせ、人々に顔も見せないほ
ど宮殿にこもって祈るってのは、どう考えても「太陽」に仕えてい
るとは言い難い。
うーん、一言で言えば、「太陽信仰」にしては開放的じゃないんだ。

じゃあ、ヒミコの「ヒ」は何を意味するのか・・。
僕はズバリ、「火」だと思ってる。
縄文時代より、家の中心に置かれた「いろり」、つまり「火」・・。
現代に生きる僕だって、火に対してある種の神秘性を感じるなあ・・。
いや、けっして僕だけじゃないでしょ。
キャンプファイヤー、キャンドルのつどい、結婚式のキャンドル
サービス、クリスマスのろうそく飾り、仏壇、神事の火・・・。
そうそう、花火だって・・・。
こんな活動が行われているのも「火」に対する神秘性、いや、そこ
までいかなくても、何かしらの思いを多くの人が感じているからだ
と思うな。
そして、「火」は、暗いところ、つまり、建物の中などでは、より
いっそう、その幻想をふくらませてくれるものだ。
おおっ!やっぱり「火」こそ、宮殿にこもってるヒミコにぴったし
カンカンじゃないかっ!
(作者注:「ぴったしカンカン」とはあのニュースキャスター
 「久米弘」さんと「欽」ちゃん、「二郎」さんの名コンビ
 「コント五五号」が出演していたテレビのクイズ番組。
  正解すると久米さんが「ぴったしカンカンー」と叫ぶ。)

人類全体の歴史を振り返ったって、「火」に対する信仰はとても古
い。
紀元前6世紀頃、ペルシャではゾロアスターって人が
「拝火教(はいかきょう)」と訳される信仰をおこしているんだ。
それから約八〇〇年後に生まれたヒミコが、「火」を祈りの対象に
したとしてもなんの違和感もない。

もうひとつ理由がある。
陳寿さんはヒミコのやってる儀式を倭人伝にこう記している。
「鬼道」・・・。
「鬼道」ですよ、「鬼道」。
なにせ、「鬼」だもん。
「鬼」とくれば「太陽」ってイメージじゃないでしょ。
鬼と言えば、燃えさかる「たいまつ」を片手に、叫びまわるイメー
ジ・・。
実際、僕の地元では鬼の面をかぶり、火をふりまわすお祭りが伝わっ
ている。
「鬼」には「火」がぴったり。
「鬼火」って言葉だってあるくらいだもんね。
ねっ。陳寿さんはちゃんと僕らにヒントをくれてたんだ。
「宮殿にこもり、人に会わない。祈る。独身女性。鬼道」。

結論です。
僕は「ヒミコ」とは「火」につかえる「巫女」のことだと考えてい
ます。

真昼というのに、うす暗い宮殿の中。
その一室にこもり、祭壇に向かうヒミコ。
そこに置かれた「たいまつ」には、めらめらと炎がゆれている。
なにごとか呪文をとなえた彼女は手に持った粉末
(イオウ、あるいはリンのようなものか・・)を火中に投げ込む。
瞬間的に音を立て、燃え上がる炎。
室内に置かれたおびただしい数の鏡が、それぞれの角度から炎を映
し出す。
部屋は赤一色に染められ、中心に座ったヒミコは体をふるわせ、叫
び声をあげ

そんな姿を僕は思い浮かべます。

では、今回のかみさんの感想。
「うーん、たしかにヒミコって火の巫女って感じがしてきたなあ。
  やっぱり、太陽じゃないって感じね。
  でも、これは、あなたの話の説得力のお陰じゃないわよ。
  素直で純真な私の納得力のたまものだわ。」

「納得力のたまもの」か・・・。
さすが、かみさん、我が家のヒミコ。ざぶとん一枚やっとくれ!
 

(次号に続きます。)
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【2】ひとこと感想、頂きました。
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「桑原」さんからです。
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こんにちは。桑原です。
小学校の教師をしています。
中学生用の歴史教科書をもとにされているとのことですが、
小学生にも通じる話だと感心しています。。
これからも、がんばって下さい。
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桑原さん、ありがとうございました。
今後ともよろしくおねがいします。



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