やってきました。金曜の夜の歴史エンターテイメント。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▲バックナンバーはこちらです。↓
http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh8072/deko/his/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■おわび:体調が悪く(目がちらつくんです)、発信が不安定に
なってしまいました。ごめんなさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目次
【1】今回の発信
【2】メールいただきました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第6章 蘇我氏の時代 (3)「馬子という名前の秘密(2)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
何となく悪役のイメージがある蘇我馬子さん。
しかし、彼は仏教を日本に根付かせた立て役者であった。
前回、僕は「馬子」という名前から、歴史の動きを推理してみた。
今回は馬子さんの後を継いだ息子さんの名前から、迫ってみたい。
馬子さんの息子さんは「えみし」という名前だった。
漢字だと「蝦夷」って書く。
当時、この「蝦夷」ってのは、大王に従わずに北日本に住む野蛮な
人々を指す言葉だった。
もちろん、当時の馬子さんにとっても「蝦夷」は敵だ。
ずっと後の世に幕府を開いた源頼朝や徳川家康などの将軍は
「征夷大将軍」、つまり、蝦夷を征伐する将軍という位だもんね。
それほど「蝦夷」ってのは、悪者のイメージがある言葉だったんだ。
ってことは・・・。
馬子さんは自分の息子に「野蛮な敵」って名前を付けたことになる。
そんなことってあるだろうか・・・?
馬子さんは時の最高権力者、大臣(おおおみ)だ。
しかも、仏教を厚く信仰する人物。
僕には、どうも、納得できない。
親という者は、何らかの願いを込めて、子どもに名を付けるものだ
と思う。
それが、「野蛮な敵」って名前をつけるだろうか・・。
これって、ブッシュさんが息子に「フセイン」って名前をつけるよ
うなもの・・。
絶対、ありえないよね。
もちろん、フセインさんだって息子に「ブッシュ」とは名付けない
だろう。
さらに調べてみると、蝦夷さんの子ども、つまり、馬子さんの孫は
「入鹿(いるか)」さんだ。
今でこそ、「いるか」ってのはかわいい響きがあるし、実際に
「イルカ」という芸名を持ち、
「なごり雪」や「サラダの国から来た娘」という素敵な歌を聴かせ
てくれる歌手だっている。
ちなみに、僕は2曲ともギターで弾けるし、歌も歌える。
しかし、「野蛮な敵」の息子が「いるか」ってのも、どうにも妙な
感じがする。
それに、馬子と入鹿のセットで考えると「馬と鹿」、
つまり「馬鹿(ばか)」だもん。
蘇我本家の3代は「野蛮な敵」と「馬鹿」って名前になっちゃうん
だ。
これ、あまりにも、ひどすぎないだろうか。
蝦夷(えみし)や入鹿(いるか)ってのは、本当の名前なのだろう
か・・?
たしかに歴史にはその名が残されている。
けれど、歴史に残された名前が、本名だとは限らない。
例えば、大リーグの名門チーム「ヤンキース」。
今年(西暦2003年)、元巨人の松井選手が入団したチームだよ
ね。
そこの歴史的スーパープレイヤーに、「ベーブ・ルース」って選手
がいる。
野球に興味がある人なら1度は耳にしたことがあるんじゃないかな
あ・・。
伝説となった予告ホームランの「ベーブ・ルース」さんです。
あの人だって、本当は「ベーブ・ルース」って名前じゃない。
本名は「ジョージ・ルース」なんだ。
「ベーブ」ってのは「ベイビー」つまり「赤ん坊」という意味のニッ
クネームだ。
大人になってからも、あまりにも幼い行動が目立ったので
「赤ん坊のルース」って呼ばれていたんだね。
それが、歴史に残ってしまった。
そうそう、あのソ連の「スターリン」だって、本名じゃない。
もう一つ言えば、蘇我氏が絶頂期にあったころの中国、「隋」の皇
帝は「煬帝(ようだい)」という名前で歴史に残っているが、これ
だって本名じゃない。後の世の歴史家がつけた
名前で「天に逆らい人民を苦しめる暴君」という意味だ。
ひょっとすると「蝦夷」や「入鹿」って名前も、後の世の歴史家が
作った名前なのかも知れない。
では、その名前が残されている「日本書記」は誰が書かせたのか・・。
これは、もともとは天武(てんむ)天皇が作ろうと発案し、藤原氏
が押し進めた物。
この天武天皇は、「入鹿」さんを暗殺し「蝦夷」さんを自害させた
天智(てんち)天皇の弟だ。藤原氏もその暗殺の中心になった一族。
つまり、蘇我本家を滅ぼした側が書いたものだ。
「なるほど・・・。
だから、『野蛮な敵』なんて名前で歴史に残されたのね。」
と納得してくれたのは、僕のかみさんだ。
さらに・・・。
さらに日本書記を見てみると・・・。
他にも、ご夫婦そろっての、ちょっとへんてこだなって僕が感じる
名前がでてくる。
夫は「馬小屋」、妻は「貝とタコ」・・・。
どうです?ちょっと違和感がないですか?
実は、これ、あの「聖徳太子」ご夫妻なのです。
日本書記には「聖徳太子」は「うまやど(馬小屋の意味)皇子」と
記され、奥さんは「貝蛸皇女」と記されている。
馬子、そして「野蛮な敵」「いるか」「馬小屋」「貝と蛸」・・・。
僕は、この妙な名前のつながりにこそ、かくされた歴史の謎があり
そうだと思う。
(つづく)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】メール頂きました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■川瀬さんから「歴史の読み方」を頂いています。
タイトルは「仏教伝来の意味と蘇我氏」です。
どうぞ、ご覧下さい。
川瀬さん、ありがとうございました。
http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh8072/deko/his/iken/13.htm