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 ■■■■■ はいつの「楽しもう歴史教科書」■■■■■
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 No.25       【発行者 はいつ でこ】

  やってきました。金曜の夜の歴史エンターテイメント。
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下記のように更新しています。
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[1]「ごはんのおかず」について
  * 5/11「死刑」発信しました。
  * 中田さんと山村さん・土橋さんから「死刑」についてご意見
   を頂いています。(5/22)
[2]「楽しもう歴史教科書」について
  * 5/23「大化の改新  (1)ゴルゴをさがせ」発信しました
[3]「♪」
  * 5/16「お暑うございます」発信しました。
[4]「子育て川柳」について
  * 5/22 募集お題は「先生」です。
[5]「子どもの一言ポエム&コラム」
  * 5/23更新
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  第7章 大化の改新 (1)「ゴルゴは誰だ」
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「ゴルゴ13」をご存じだろうか・・・?

昭和を代表する漫画家の一人、「さいとう たかを」さんが生み出
したスーパー狙撃暗殺者の名前であり、その漫画(劇画)のタイト
ルでもある。

僕が小学生の頃(1968年)に連載が始まった作品だ。

いろいろな思惑がうずまく国際政治の舞台。
とうてい不可能と思われる政財界・宗教界などの超大物達の暗殺を
引き受け、見事に仕上げる暗闇の冷たい暗殺者、それがゴルゴ13
なのだ。

彼はコンピューター付き殺人マシーンとも呼ばれる暗殺犯だけあっ
て用心深い。

自分の背後にこっそりと近づく者は、有無を言わさずぶん殴っちゃ
うって本能の持ち主だもん。
たとえ、それが、自分に暗殺を依頼してきた大切なお客様であって
も、また、まったく無関係な「だるまさんが転んだ」をしているだ
けのけなげな子どもであったとしてもだ・・。

確かめもせず、容赦なく殴っちゃう。

で、たとえ勘違いでなぐったとしても謝りもしない。

「・・・俺に近づくときは、もっと足音をさせることだ。」

なあんて捨てぜりふをはく開き直りのサングラス中年男、それがゴ
ルゴなのだ。

その人気から映画化もされた物語でもある。

しかも、実際の人間が演じる「実写」で映画化されたのだ。
しかも、しかも・・。1度ならず2度も実写になったのだ。

ちなみにゴルゴ役は、初代が「健さん」こと「高倉健」さん。
2代目が、「千葉ちゃん」こと「千葉真一」さん。
二人とも大物俳優だ。

なんでも原作者の「さいとうたかを」さんは健さんからゴルゴをイ
メージしたらしい。
けど、どうにも、そんな感じはしなかったなあ・・。

後年、「鉄道員」を演じる健さんは、当時(1973年)から
「仁義」に生きる「はにかみや」って雰囲気があったもの。
冷酷マシーンが、はにかむってのは、ちょっと・・・。

で、千葉ちゃん。
これは、正直に言って、健さんより似合ってなかった。

千葉ちゃんは「ちょっとおちゃめな熱きヒーロー」がはまり役。
なにせ「千葉ちゃん」だもん。「・・ちゃん」だもんね。

いくらサングラスかけてすごんだって、中の目が笑ってる。
ゴルゴはさっき言ったように、冷酷なコンピューター内蔵スナイパー
だもんね。

この配役は、アイスコーヒーをホットで注文するようなものだ。

まあ、すごいというか、大胆というか、がんばってくれよ日本映画っ!

ゴホン、それはともかく・・・。
なぜ、このゴルゴ13が映画化されるほどの人気を得たか・・。

それは、リアリティーのお陰なのだと僕は信じている。
だからこそアニメ化ではなく、役者さんが演じる実写映画でも可能
だったんだろう。

過去に起きた歴史的な暗殺事件を詳細に分析し、その研究をもとに
現実世界に起きている政治の実態に即して仕上げられたストーリー。
そこに読者はリアリティーを感じ、作品を味わうのだ。

また、いろいろな策略やアクションがうずまく展開なのだが、そこ
には一つの決まったパターンがある。
そのパターンこそ、リアリティーの根元でもある。

それは、ゴルゴ13が暗殺者に徹しているということだ。

当たり前のようだが、これは、とても大切なことだ。
ゴルゴは、狙撃の天才ではあるが、あくまで、暗殺を実行するだけ
の実行犯にすぎないのだ。

かんじんの暗殺の依頼主は別の人物。
「○○大統領を殺してくれ。」と頼むのは別人なのだ。

ゴルゴは物語の主役ではあるが、主犯ではない。
ちょっとややこしくなるけど、その主役だが主犯ではないゴルゴと、
脇役だが本当は主犯の依頼主という登場人物がおりなすストーリー
なのだ。

これが、リアリティーを維持するために壊せないパターンだ。

暗殺は、「主犯」と「実行犯」の両者があって初めて成り立つのだ。
けっして、主犯が実行することはない。

暗殺は戦闘ではない。
そこに、ある種の暗さがある。

簡単な言葉で言えば、「ひきょう」なのだ。
暗殺は、陰からコソコソと標的をねらう「ひきょうさ」を持ってい
るのだ。

だからこそ、主犯は自らの手をよごさずに実行犯に依頼する。
まあ、だから「暗殺」って言うんだろうけど・・。

このことをふまえて、日本の歴史上、最大の事件のひとつとも言わ
れる、かの有名な暗殺事件を見てみたい。

その大事件・・。殺されたのは蘇我入鹿(そがの いるか)さんだ。
いわゆる「大化の改新(たいかの かいしん)」のきっかけとなっ
た事件だね。

ちなみに学生の頃の僕は、この暗殺自体が「大化の改新」だと思い
こんでいた。
今、聞いてみたら、かみさんもそうらしい。
でも、これってまちがい。
「大化の改新」は、あくまで暗殺後の一連の政治改革であり、入鹿
暗殺は、そのきっかけになった大事件なんだね。

多くの教科書や資料集にはこのように書いてある。
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645年、中大兄皇子(なかの おおえのおうじ)や中臣鎌足(な
かとみの かまたり)らは、当時、勢いをふるっていた蘇我入鹿
(そが の いるか)を倒し、その後、大化の改新と呼ばれる政治
の改革を始めた。
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つまり、入鹿暗殺の主犯は「中大兄皇子」・「中臣鎌足」と書いて
あるわけだよね。

「知ってるわよお。その事件なら詳しく・・。
 『むしごろし(645年)大化の改新』って年代まで覚えたわ。
 『いいくにつくろう(1192年)鎌倉幕府』とか
 『なくよ(794年)坊さん平安京』とかに次ぐ、覚えやすい年
 代よ。
 いや、『白紙(894年)に戻そう遣唐使』もすごいもんねえ。」
と言ったのは、僕の後ろからこの原稿を読んでいるかみさんだ。

かみさんは続けた。

「ところで、あなた・・。
 どうして今日はそんなサングラスなんかかけてるの?」

「いや、別に・・・。
 これ、電磁波から目を守るメガネだけど・・。」

「ははあ、わかったわ。
 あなた、なりきってるのね、ゴルゴに。
 そうか!
 入鹿暗殺事件のゴルゴを捜そうって、魂胆(こんたん)ね。
 私をごまかそうったって、そうはいかないわよ。」

いや、別にごまかしてるわけではないけど・・・。

まあ、その通りです。

僕は「入鹿暗殺事件」のゴルゴ13を捜す。
そして、この日本史上最大の暗殺事件の全ぼうを解き明かすのだ。

「ベイビー。
 ・・・俺に近づくときは、もっと足音を立てることだぜ!!!」

振り向きざまに、かみさんにそう言ってやった・・・。

おおっ!
健さんより、千葉ちゃんより、はまってるじゃないか・・僕はそう
思った・・・。



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