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 ■■■■■ はいつの「楽しもう歴史教科書」■■■■■
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 No.28      【発行者 はいつ でこ】

  やってきました。金曜の夜の歴史エンターテイメント。
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■「たのれき」トピック
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あーちゃんから めろんぱんサイトに「おすすめの言葉」を頂きま
した。
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■イメージが変わります
「歴史」・・それは難しくてつまらないものとイメージしていた私。
でも、この「楽しもう歴史教科書」でイメージが変わりました。
今、私は歴史上のたくさんの人々のことを思い浮かべながら毎日を
過ごしています。
あなたも読んでみて下さい。
きっと歴史に対するイメージが変わります。
(あーちゃん)
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ありがとうございます。せっかくの「おすすめ」を頂いていたのに、
ずっと休止状態が続いていました。
イメージが変わるってより、ダメージが残るって感じの中断でした。
ごめんなさい。

(はいつ)
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  第7章 大化の改新 (4)「タランチュラの事件簿(中)」
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「ところでホークス・・・。」とハトソンが切り出した。

「なんだいハトソン君?」私はハードボイルドに答えた。
(作者注:ちなみに「ハードボイルド」ってのは「固めにゆであげ
 た」ってことだぞ・・・。
 日本語に訳すと、けっこうカッコ悪いなあ・・。)

「今回の入鹿暗殺事件の調査なんだけど、
 いったい誰からの依頼なの?」

「あれっ、まだ話していなかったですかな。
 はいつ氏ですぞ。はいつ氏。2丁目の・・。」

「えっ、はいつさんなの。
 あの絵本作家を名乗ってる・・というか、
 だと思いこんでいる・・。」

「ああ、そうだよ。
 ほら、町内会の会合があっただろ。ちょうど7週間前。
 あの時、たまたま、隣に座っちゃったのだよ、はいつ氏の・・。
 彼も町内の運営委員やってるからね。
 でね、その時に町内会長の星野のおやじさんが、配ってくれた、
 ほら、なんてったっけ、あのお菓子・・。
 細い長いおでんの串みたいなビスケットの先に、ほら、
 チョコレートがからまってて・・。」

「おでんの串に、チョコ?ああ、ポッキーね。」

「そうそう、そのポッキー。
 はいつ氏の分のポッキーを間違って私が食べちゃったのだよ。
 まずいことに5本全部。
 でも、普通、怒らないですよね、そのくらいでは。
 なにせ、40過ぎのおっさんですもの、はいつ氏。
 それが・・・おどろくべき事だが、激怒したのだよ。激怒・・。
 メロスじゃ、あるまいし・・。目をつりあげましてね、
 うっすら涙まで浮かべちゃって・・。
 最後にはポッキーポッキーってうわごとみたいに・・。」

「いやだあ、何だか怪談めいてきたわねえ。
 あっ、そう言えば、はいつさんちの犬・・・。
 たしか、ポッキーって名前よ。」

「げげっ!そうだったのか!知らなかった・・・。
 まあ、とにかく、そういったことで、お詫びに無料で調査する事
 になったってわけなのですぞよ、ハトソン君。」

「けど、はいつさんと入鹿暗殺事件になんの関わりがあるの?
 私はどちらかというと、
 はいつさんとポッキーの関係を調べたいわ。」

「はいつ氏、インターネットを使ったメールマガジンを発行してい
 るのだよ。
 そのメルマガのタイトルが『楽しもう歴史教科書』。
 いわゆる歴史に関する推理ものだね。
 ほとんど人気はないらしいけど・・。
 で、入鹿暗殺事件で常識とされている部分、つまり教科書にも書
 かれている中大兄皇子首謀者説に疑問を抱いたというんです。
 いわく、暗殺実行犯の中大兄皇子が首謀者のはずがない。
 危険をおかす実行犯とは別に、黒幕がいるはずだってね。」

「なるほどお・・・。
 それにしても、はいつさん、暇ねえ・・。」

「まあ、暇と言えば暇だわな。
 絵本も売れてないみたいだし・・・。
 そもそも1冊でも書いたことがあるのかどうか疑問だけど・・・。
 まあ、いいや。本題に戻しましょう。
 君が、資料として探してきた
 『学習まんが・歴史人物なぜなぜ事典(2)』だけど・・・。
 読んでみて、入鹿事件に関する不審な点が見つかったかい?」

「ええ、あったわ。」

「おおっ、そうか!あったか。で、どんな点なんだ?」

「何と言っても、暗殺した後の中大兄皇子が変なの?」

「変、っていったいどんなふうに?」

「暗殺の後、天皇になってないの。」

「ええっ?ハトソン君、そりゃ、うそだろ。
 だって、私でも知っておりますぞ。
 中大兄皇子は後の天智天皇であるってね。」

「ええ、それはそうなんだけど・・・。
 彼が天皇になったのは暗殺のずうっとずうっと後なの。
 暗殺のすぐ後に天皇が変わり、新しい天皇が即位してるんだけど、
 それが中大兄皇子さんじゃないのよ。
 別の人が天皇になっているの。」

「ええっ?そりゃ、たしかに変ですぞ。
 もし、首謀者なら、
 当然、中大兄皇子が天皇になるだろうからね。」

「でしょ。
 それが、天皇になってないの。
 なんでも、皇太子になって政治をあやつったって書いてあるわ。
 でも、それも変なの・・。」

「またまた、変ですか・・。
 どんなふうにです?ハトソン君。」

「だって・・。
 暗殺の後、やっと中大兄皇子になったっていうんだもん・・。」

「・・・?おっしゃる意味が理解できませんがね、ハトソン君。」

「あのね、整理して話すわよ。
 蘇我入鹿を暗殺したのは中大兄皇子じゃないの。
 葛城皇子(かつらぎ の みこ)なの。
 それで、暗殺成功後に、大兄皇子(おおえの おうじ)っていう
 位についたの。
 で、中大兄皇子と名乗ったわけね。」

「なんですとっ!
 たしか、大兄皇子という位は、次の天皇になれる資格のある皇子
 を意味するんですぞ。
 現代の皇太子とちがって、天皇になれるかどうかわからない位で
 すよ。
 まあ、学級委員に立候補したけど、当選するかどうかわからない
 不安な少年ってとこだね。
 うーん。天下をぎゅうじっていた あの蘇我入鹿を命がけで倒し
 たあげくに、学級委員立候補か・・・。
 こりゃあ、たしかに変ですぞ・・。」

「でしょ・・。」

「ハトソン君、1つ質問してもいいかね。
 では、入鹿暗殺後に天下をにぎった人、つまり天皇になったのは、
 誰なんだい?」

「ええ、それも、
 『学習まんが・歴史人物なぜなぜ事典(2)』に書いてあるわ・・。
 中大兄皇子のおじさんなの、いや、義理の弟かなあ・・。」

「・・・?おっしゃる意味が理解できませんがね、ハトソン君。」

私の頭の中でタランチュラの糸が からみついた。

(つづく)



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