ほとんどの人がその名を聞いたことがあるだろう・・。
でも、ほとんどの人が興味がないのではないだろうか。
それが「古事記」である。
「知ってるわよ、親の兄弟でしょ。(かみさん談)」
えっ?
「おじき。・・・。なあんちゃって、くくく。(かみさん談)」
はっ?
「じゃ、ほこりを吸い取る・・。(かみさん談)」
えっ?
「掃除機・・。ぷぷぷ。(かみさん談)」
うーむ。
いかん。
どうも前回から、かみさんの調子がアップしてきている。
怖いからほうっておこう。
君子でなくとも危うきに近寄ってはならないのだ。
多くの教科書にはこう書いてある。
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国家の勢いが強まった8世紀には、国の成り立ちを記した
「古事記」・「日本書紀(にほんしょき)」などの歴史書
が作られた。
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これ、不思議じゃないだろうか・・?
「あら、あなたもやってるじゃない。(かみさん談)」
えっ。
「やだあ、ごまかして。
私、お見通しよ。
古事記、不思議って・・。
くくく。
いまいちのサブリミナルね。(かみさん談)」
げげっ。
かみさんがやってたのは、サブリミナルだったのか・・?
いかん、いかん。
つい危うきに近寄ってしまうところだった。
とにかく、おかしいのだ。
「古事記」と「日本書紀」。
何がおかしいって、できあがった時期が変なのだ。
両方とも同じ8世紀に作られたって教科書に書いてあるよね。
もう少しくわしく言うと、この2つの歴史書が完成したのは、
それぞれ712年と720年だ。
ねっ。変でしょ。
たった8年しか離れていないんだよ、これ。
まあ50年も離れていれば、うなづけるよね。
そろそろ新しい歴史書でもつくろっか、てな具合になるかも知れな
い。
でも、たった8年。
人間で言えば、まだ小学2年生。
乳歯だって生えてるぞ。
ジャイアント馬場さんなんて38年間も現役でプロレスをやったの
だ。
8年ひいても、あと30年もあるんだぞ。
とにかく8年なんてそんなものなのだ。
たったそれだけの間に2つも国家の歴史書を作るだろうか・・。
僕には、どうにも解せない。
なぜ2つも歴史書を作っちゃったのか。
思い出していただきたい。
2003年の国土交通省のどたばた劇を。
民営化をひかえた道路公団に、2つの帳簿が存在することが判明し、
国会でもてんやわんやの大騒動になった。
藤井総裁は首になり、石原大臣は失態をさらした。
テレビを見ていた僕らはけっこう楽しめたではないかっ。
たんなるお役所に2つの帳簿があったていどのミステリーで、これ
ほどいけるのだ。
「古事記」と「日本書紀」は、なにせ、国の歴史書なのである。
道路公団の帳簿どころではないのだ。
2つの歴史書というミステリー・・。
楽しめそうではないかっ。
素通りしては、いけないぞ。
ここにこそ日本の歴史上最大のミステリーが隠されているかもしれ
ないのだ。
「うーん、そう言えば、そうよねえ。
2つもあるなんて変よねえ。
2つかあ・・・。
2つある本と言えば・・・。
あっ!思いついたわっ!(かみさん談)」
何?
「日本語版と翻訳版よ。(かみさん談)」
なあるほど・・。
たしかに、その可能性はあるなあ・・。
当時の外国語と言えば、超大国「唐」の漢語である。
「古事記」を漢語に翻訳したものが「日本書紀」なのかもしれない。
・・・・。
僕とかみさんはこうして、その推理を探ってみた。
しかし・・・。
しかし、この推理は、もろくもくずれた・・・。
「古事記」と「日本書紀」。
この2つは、書いてある中身が違っていたのだ。
中身が違うのに、日本語版と翻訳版とは言えないよね。
で・・。
最も違うと僕らが感じたところ・・。
それは「古事記」には「天武(てんむ)天皇」のことが書いてない
ことだ。
なあんだ。そのくらい、いいじゃん、と思ったあなた・・。
それは、違う。
これはおおごとなのだ。
そもそも歴史書を作ろうと言い始めたのは、天武天皇なのだ。
「古事記」とは天武天皇が自分の支配の正しさを証明するために作
らせた歴史書なのだ。
そういう意味で、主人公は天武さんなのだ。
「古事記」は主人公が出ない物語だったのだ。
「主人公が出ないで、完成って言えるの?(かみさん談)」
うん、一応、元明(げんめい)天皇が完成させたことになってるん
だ。
でも、これで完成と言えるのかなあ?
「あっ。天武天皇って元明天皇のおじさんでしょ。」
うん、そうだよね。
「なあんだ。
やっぱりそうじゃない。」
やっぱりって・・?。
「『古事記』は『おじき』を『掃除機』で吸い取っちゃってるのよ。
ぷぷぷぷ・・。」
そうきたか、かみさん・・・。
かみさんのサブリミナルはさておき・・。
今日のポイントをまとめておこう。
(1)古事記と日本書紀という2つの歴史書が存在する不思議さ。
(2)古事記には主人公のはずの天武天皇が出ていないこと。
(3)古事記は完成していたのかという疑問。
次回は、古事記の謎にさらに迫ります。
(つづく)