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  第13章 「称徳(しょうとく)と道鏡(どうきょう)」
         (1) 「○○民営化」
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郵政民営化、道路公団民営化。

このところ、改革と言えば「民営化」がキーワードとなっている。

いや。
「このところ」じゃないなあ。

国鉄や電電公社なんていう言葉を聞いても、意味がわからない人が
いるくらい民営化の歴史はけっこう古い。

民間出身の大臣だって、今では珍しくもなんともないよね。

公立学校の校長さんだって民間から採用され始めている。

今、苦境に立たされている皇太子妃だって民間出身だ。

現皇后も同じく民間出身。

もう、大流行。「民営化」。

こうなると、もう
何が民営化されようとも不思議ではないという感じだ。

「あーあ。
 夫もどこかから引っ張ってきて民営化したいわ。(かみさん談)」

それってさあ、変だよ。

そもそも夫って公務員じゃないじゃん。

「あらっ。
 家庭も家族にとっての公共の場よ。
 だから、夫は公共への奉仕者。
 つまり、公務員と言ってもいいわけよ。
 早く民営化して、もっといい人材と替えたいわ。(かみさん談)」

ごほん。

どうして、こんな発想ができるのか不思議です。

まあ、とにかく、日本では民営化の嵐が巻きおこっていると言って
もいいだろう。

ある一つをのぞいては・・・。

「なんか、思わせぶりねえ。
 なによ。ある一つって・・。(かみさん談)」

ある一つ・・。
それは「天皇」です。

さすがに「天皇」を民営化しようなんて議論は出てないよね。

「そうかあ。
 考えたら、皇后さんもかわいそうねえ。
 夫を民営化できないんだもんね。(かみさん談)」

いや、そういうレベルの問題じゃなくて・・。
ごほん。
まあ、いいや。放っておきましょう。

「天皇」って、血筋によって保証された地位だから、
「民間人」が「天皇位」に着くと言うことは通常では不可能です。

でも・・・。

実は、その不可能と思われる「天皇民営化」が行われようとした
ことがあるんだ。

時は、奈良時代。

結局、実現はしなかったんだけど、すれすれの所まで行ったんだ。

日本史、最大のミステリーだと言ってもいいよね。

「へえ。
 よっぽど夫嫌いだったのね、その時の皇后さん。(かみさん談)」

だから、そんな話じゃないってば!

「天皇民営化」が実現しかけたのは、称徳(しょうとく)さんとい
う女性天皇の時だ。

この人は、あの大仏を造り、
「私は仏の奴隷だ。」と宣言した聖武(しょうむ)天皇の娘さん。

生涯を独身で通した女性だ。

称徳(しょうとく)天皇は、自分の次の天皇を、なんと、民間人か
ら採用しようとしたんだ。

採用されかけた民間人の名は「道鏡(どうきょう)」さん。

お坊さんだった。

「ええっ!
 お坊さんが天皇になりかけたの?
 そう言えば・・。
 さぎ師になったお坊さんがいたわよねえ。
 なんてったっけ、あの顔の怖そうなお坊さん。
 おがむぞう、みたいな名前で、ほら・・。(かみさん談)」

ごほん。
なんか、不穏な雰囲気になってきたので、また放っておきます。

さて。
日本をゆるがしたスーパーミステリー、「天皇民営化」。

不思議なことに、この大事件は中学校の歴史教科書には載っていな
い。

しかし、みなさん。

「ここを素通りしては、夫民営化への道が遠のいてしまいます。
 がんばろうではありませんか。
 ・・・よね。(かみさん談)」

はい。

それでいいと思います。

ということで、次回は「天皇民営化事件」に、ぐりぐり迫りたいと
思います。

ではでは。



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