この夏、いかがお過ごしですか?
●僕は、熊本県の菊池という所に行きました。
菊池は邪馬台国のライバルとして歴史に残されている「くな国」
の候補地でもあります。
見事に広がる田んぼ。
ここのお米は「日本一の味」に選ばれたこともあるそうです。
昔も邪馬台国に対抗できる実りがあったのかもしれませんね。
なんか古代のロマンを感じる旅でした。
●まぐまぐさんが「アワード」というコンテストを開催しています。
メルマガを本にしてあげようというコンテストです。
で、「たの歴」も立候補しました。
読者さんの投票もあります。
もし、よろしければ、投票していただけませんか?
もちろん、めろんぱんさんで購読してくれている方も投票できま
す。
よろしくお願いします。
下記が投票のHPです。
http://cgi.mag2.com/cgi-bin/mag2books/vote.cgi?id=0000101138
●図々しくも、個人文集「ぽとり」も立候補しています。
こちらもぜひ・・。
http://cgi.mag2.com/cgi-bin/mag2books/vote.cgi?id=0000119930
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【1】今回の発信
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下記の【登場人物一覧】を今回の発信の参考にして下さい。
【登場人物一覧】
●ヒャーヤッコ・ホークス:
冷ややっこ好きのダイエーファン。
町内会副会長。
探偵事務所を開き、数々の事件を迷宮入りさせてきた。
●ハトソン
ホークス事務所の助手。
中年のおばさん。
子どもの頃、伝書鳩に逃げられた経験があり、以来ハトソンと
名乗る。漢字で書けば「鳩損」ね。
それ以外はすべて不明。
●理容「ほしの」のおやじ
町内会会長。
ホークスが好んで通う散髪屋。
話好き。
●かみさん
僕のかみさん。
●はいつ
僕。
*もっと詳しく知りたい方は、バックナンバー27
「タランチュラの事件簿」をご覧下さい。↓
http://village.infoweb.ne.jp/%7efwkh8072/deko/his/46.htm
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第13章 「称徳(しょうとく)と道鏡(どうきょう)」
(4)「ホークス事務所の挑戦(上)」
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「だんな。またしばらく洗ってませんね。臭います。
事件ですかい?」
鏡に映った理容「ほしの」のおやじがイヤな顔をした。
さすがになじみの散髪屋。
推理中の私の「髪を洗わないクセ」を知りつくしている。
「ああ。
まだ3週間ほどだが・・。」
私はハードボイルドに答えた。
私はヒャーヤッコ・ホークス。
町内の事件を一手に引き受ける探偵だ。
どんな簡単な事件でも、私の手に掛かれば怪事件。
ふひゃひゃひゃひゃ。
威張るわけではないが、町内会副会長でもあるぞよ。
ちなみに会長は「ほしの」のおやじだ。
「で、今度はどんな事件を迷宮入り・・、いやすみません。
解決しようとしてるんです?」
「ほら。2丁目のはいつ氏の依頼なんだ。」
「ええっ!
ってことは、あの道鏡(どうきょう)事件の謎解きですかい?」
おやじは蒸しタオルを私の頭にのせた。
頭皮から、イカの油漬けの臭いがぷうんと漂った。
この臭いだけで、ごはんが一杯いけそうだ。
「ぐっ。ぐふっぐふっ。」
おやじが臭いにむせた。
どうやらイカ嫌いらしい。
「おやじさん。『たの歴』読んでるの?」
「ぐふっ。
ええ。読んでますとも。
あっしも歴史好きですからね。
でね。この頃、こなかったでしょ。『たの歴』。
おかしいなあと思ってたんですがね。
なるほど、まだ推理の答えが出てなかったんですね。
それで、ホークスさんに頼んだってわけですね。
ぐふっ。ぐふっ。」
けっこう人気なんだな。たの歴。
時おり、こうして顔を出す、このホークス様のお陰にほかなるまい。
「ホークスさん。
あっしは知ってますぜ。道鏡事件の犯人。」
どこの町内にもこういう人間がいる。
どどどどど素人のくせに、いっぱしの探偵ぶる困り者だ。
「ほほう。これは興味深いですな。
ひとつお聞かせ願いましょうか。」
大人である。
まさに大人の対応である。
煮えくりわたる腹の内を明かさずに、冷静に対応する。
これぞ大人、ヒャーヤッコ。
「いえね。
あっしもちょいと考えてみたんですよ。」
と言いながら、おやじは胸ポケットからメモ用紙を取り出した。
そこには、こ汚い字でこう書いてあった。
『道鏡事件の流れ。
(1)お坊さんの道鏡が称徳(しょうとく)女帝の病気を治す。
(2)法王にまで登りつめる道鏡。
(3)宇佐神宮から道鏡を天皇にしなさいとお告げ。
(4)称徳(しょうとく)女帝が、お告げが本当かどうか確かめ
ることを決定。
(5)宇佐神宮へ和気清麻呂(わけの きよまろ)を遣わす。
(6)和気清麻呂(わけのきよまろ)が持って帰ったお告げは、
道鏡を天皇にしてはならないというものだった。
(7)怒った称徳(しょうとく)が和気清麻呂(わけのきよまろ)
を罰する。
(8)次の年、称徳(しょうとく)が亡くなり道鏡も没落。
(9)さらに2年後、道鏡死す。』
「これは、道鏡(どうきょう)と称徳(しょうとく)のしわざです
ぜ。
きっと、称徳(しょうとく)は道鏡(どうきょう)を愛してたん
ですな。
愛した道鏡(どうきょう)を天皇にしたい。
道鏡(どうきょう)は天皇になりたい。
しかし、なにせ天皇の位。
そう簡単にはいきません。
でもって、宇佐神宮から『道鏡を天皇にしなさい。』というお告
げがあったとウソをついたんですな。
お告げ偽造は道鏡(どうきょう)と称徳(しょうとく)の共犯で
す。
どうです?この推理。」
おやじの鼻の穴が広がり、鼻毛が飛び出した。
カバは口を広げて、その大きさを自慢するという。
ヒトは自慢するとき、鼻の穴を広げる。
くそう・・・。
おやじめ。
自慢しているな。
私は、自慢じゃないが「自慢」が大嫌いだ。
「ほほう。
まあまあのデキですな。
いや、素人としては上出来、上出来。
プロの探偵を前にして、よくぞ、それだけ述べました。
鼻の穴まで広げて・・。
いやいや、ご立派ご立派。
すばらしい道鏡ですな。もしかして道鏡出身?
あはははは。」
おやじがキョトンとした。
「度胸」と「道鏡」、「東京」と「道鏡」のシャレも理解できんら
しい。
なんとも頭の切れないおやじだ。
おっ。
頭も切れずに、散髪屋か・・・。
くくく。
おもしろいっ!
素敵な「称徳んと」ね。
ぷぷぷ。
賢明な読者さんには説明はいるまいが一応・・。
ショートコントね。
私は、おやじのメモを取り上げ、こう言った。
「おやじさん。このメモは預かっとくよ。
では、サラダ。」
「さらばって・・。
ありゃありゃ。どこへ行くんですかい。
ホークスさん、散髪、まだ終わってないよお。」
すがるおやじを振りきって、私は事務所に急いだ。
歩いて3分。走れば2分とかからない。
ガラガラっ。
事務所の引き戸を開けると更年期を迎えたハトソン君がいた。
私は静かに言ってやった。
「ハトソン君。
通販生活読んでる暇なんかないぞ。
あの事件。とうとう解決したのです。
さっそく、はいつ氏に連絡してくれたまえ。
驚いてはいけませんぞ。
なんと犯人は2人だったのです。
ふふふふふ。
知りたい?
よろしい。教えましょう。
道鏡(どうきょう)と称徳(しょうとく)の共犯だったのだよ。
これで、決まりです。
ぐははははは。」
ハトソン君がさめた目で言った。
「ホークス。鼻の穴がおっぴろがってるわよ。」
チリリン。
風鈴が鳴った。
(つづく)
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夏休み中は短期集中発信となります。
あさって発信の次号にもおつき合いあれ。
核心に迫るかも。
ではでは。