●まぐまぐさんが「アワード」というコンテストを開催しています。
メルマガを本にしてあげようというコンテストです。
で、「たの歴」も立候補しました。
読者さんの投票もあります。
もし、よろしければ、投票していただけませんか?
もちろん、めろんぱんさんで購読してくれている方も投票できま
す。
よろしくお願いします。
下記が投票のHPです。
http://cgi.mag2.com/cgi-bin/mag2books/vote.cgi?id=0000101138
さっそく投票して下さった方、ありがとうございます。
●上記の投票所HPですが、
現在の票数や順位なんか出て、なんか、楽しいですよ。
運動会みたいです。
●図々しくも、個人文集「ぽとり」も立候補しています。
こちらもぜひ・・。
http://cgi.mag2.com/cgi-bin/mag2books/vote.cgi?id=0000119930
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【1】今回の発信
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下記の【登場人物一覧】と【資料】を今回の発信の参考にして下さ
い。
【登場人物一覧】
●ヒャーヤッコ・ホークス:
冷ややっこ好きのダイエーファン。
町内会副会長。
探偵事務所を開き、数々の事件を迷宮入りさせてきた。
●ハトソン
ホークス事務所の助手。
中年のおばさん。
子どもの頃、伝書鳩に逃げられた経験があり、以来ハトソンと
名乗る。漢字で書けば「鳩損」ね。
それ以外はすべて不明。
●理容「ほしの」のおやじ
町内会会長。
ホークスが好んで通う散髪屋。
話好き。歴史好き。推理好き。
●かみさん
僕のかみさん。
●はいつ
僕。
*登場人物について、詳しく知りたい方は、バックナンバー27
「タランチュラの事件簿」をご覧下さい。↓
http://village.infoweb.ne.jp/%7efwkh8072/deko/his/46.htm
【資料】
●「ほしの」のおやじがまとめたメモ
『道鏡事件の流れ。
(1)お坊さんの道鏡が称徳(しょうとく)女帝の病気を治す。
(2)法王にまで登りつめる道鏡。
(3)宇佐神宮から道鏡を天皇にしなさいとお告げ。
(4)称徳(しょうとく)女帝が、お告げが本当かどうか確かめ
ることを決定。
(5)宇佐神宮へ和気清麻呂(わけの きよまろ)を遣わす。
(6)和気清麻呂(わけのきよまろ)が持って帰ったお告げは、
道鏡を天皇にしてはならないというものだった。
(7)怒った称徳(しょうとく)が和気清麻呂(わけのきよまろ)
を罰する。
(8)次の年、称徳(しょうとく)が亡くなり道鏡も没落。
(9)さらに2年後、道鏡死す。』
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第13章 「称徳(しょうとく)と道鏡(どうきょう)」
(5)「ホークス事務所の挑戦(中)」
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「ふうん。
『道鏡を天皇にしろ。』というお告げは、称徳(しょうとく)さ
んと道鏡さんが2人で仕掛けた策略だった・・。
ホークスはそう推理したのね。」
ハトソンの問いかけに、私は胸をはった。
「いかにも、たこにも、くらげにも。
驚きましたか、ハトソン君。
犯人が一人だと思うから、真実が見えないのです。
日本の歴史上、最高のミステリー。
それを単純に考えてはいけません。
単純な人間は探偵になれませぬぞ。
お告げの偽造・・。
それは、二人の愛が生んだ暴走の事件だったのです。
これから君もいろいろと学んで下さいよ。
探偵学の『いろは』をね。
いろはにほほほほほ・・・。」
笑いをこらえることができなかった。
とうとうハトソンに勝ったのだ。
「それ、ホントにホークスが考えたの?
なんか、怪しいなあ。
このメモだって、あなたの字とは似ても似つかないし。」
「へっ?」
あっ。
そうだった・・・。
よく考えたら、ぜーんぶ、理容「ほしの」のおやじの考えだった。
いかん、いかん。
こんな時こそ冷静にごまかさねば。
ええいっ。
ウソも方便、ミソは宿便。
私は左手のひらに「人」と言う字を3回書いて飲み込んだ。
すうっと気持ちが落ち着いてきた。
よしっ、いくぞっ。
「ごっくん。
あ・あ・・当たり前じゃないですか。
ほ・ほ・・他に誰が考えつくというのれすか。」
ひえー。びびってるよお。
「例えば、ほしのさんとか・・。」
どきっ。
ずばりじゃないか。
なんてカンの鋭い女なんだ。
ハトソンは続けた。
「まあ、いいわ。
でもね、ホークス。
その推理、ちょっとおかしいわ。」
「お・おかしいですと?
このホークスの完璧な推理の、どこがどうおかしいって言うので
すかな。」
「だってさ。
ウソをついた本人が、そのウソが本当かどうか確かめようなんて
するかしら?
ほら、このメモの(4)と(5)に書いてあるわ。
称徳さんは、お告げが本当かどうか確かめるために、
和気清麻呂(わけの きよまろ)という人を宇佐神宮に遣わした
んでしょ。」
ハトソンはメモを指さしながら、ゆっくりと語った。
んっ。
鼻の穴がふくらんでいるじゃないか、ハトソン。
くそう。
いばってるな。
ああ・・。私もいばりたい。
でも・・。
そう言えばそうだよな。
自分がついたウソを、わざわざ確かめに行かせるはずがない。
ウソをついたことのない私にだって、それくらいはわかる。
くそう。
ほしののおやじに一杯食わされた。
これだから「どどどど素人」は困るのだ。
もう散髪になんか行くものか。
「ねっ。
だから、称徳さんは『お告げ』を偽造してはいないはずよ。」
ううむ。
なんとかして、いばらねば・・。
ようしっ。
得意のシャレだ。
「えらいっ。
その通りです。
やっと、気づいてくれましたね。
そもそも称徳さんが偽造などと言う汚い手段を選ぶはずがないの
です。
名前からしてキレイそのものですから。」
「名前って?」
「消毒っ。
ふひゃひゃひゃひゃ。」
きまった。
強烈にきまったぞ。
「称徳」と「消毒」。
すごいじゃないか。
おっ。
敵は頭を抱え込んでいるぞ。
鼻の穴はどうだ?
おおっ。
小さくなってるじゃないか。
今がチャンスだ。
「ハトソン君。
そもそもミステリーというものは単純に考えた方がいいのです。
難しく考えてはいけません。
歴史上最大のミステリーなんですから、最高に単純に考えねばな
りません。
そろそろ、答えを出しますかな・・。
『道鏡を天皇にしなさい。』という偽のお告げを出した犯人・・。
ズバリ言いましょう。
それは、道鏡です。
法王の位に満足できなかった彼は、その上、つまり天皇の位を狙
います。
そして考えついた作戦。
それが、かさこの地蔵ならぬ、お告げの偽造だったのです。」
うひゃあ。
またまた、きまってしまった。
こういう場面で「かさこ地蔵」が頭に浮かぶなんて・・。
自分をほめてあげたい・・。
私のセンスに嫉妬したのか、ハトソンは無視してためいきをついた。
「ふう・・。
残念だけどホークス。
それも可能性はうすいわ。
もし、そうだとしたら、お告げの真偽を確かめようとする称徳さ
んをとめるはずよ。
どんな手段を使ってもね。」
ハトソンは私の手からメモを取り上げて、立ち上がった。
「ところで、ホークス。
このメモ、ホントにあなたが書いた物なの?
ちょっと理容『ほしの』に行って確かめてくるわ。」
ひえー。
ミソも宿便がばれちゃうよお。
「ちょっ、ちょっと、待ってくれたまえ。
今日は、仏滅だし、天気もいいし、頭もかゆい。
いてっ。いててて。
お腹、痛くなっちゃった。
『ほしの』に行くのはやめとこうよ。
ねっ。やめとこ。」
「ほらね。
そうやってとめるはずよ。
もし、道鏡さんがウソをついていたのなら、必死になってとめた
はずだわ。
死刑にされてもおかしくないようなウソだものね。」
ぐぐっ。
この私をひっかけたのか・・。
なんてイヤな女だ。
鼻の穴が再び花開いた「いばりハトソン」は続けた。
「とにかくさ。
探偵学の基本に戻ることよね。
この事件で得をしたのは誰か・・。
そこから考えましょうよ。」
「得をした人物・・。
少しの得なら、はっきりしてるぞ。」
「えっ?
少しの得?
だれ、だれ?」
「ふひゃひゃひゃ。
お教えしよう。
少得。
つまり称徳。
ぐははははははははははは。」
やはり・・。
高級なシャレは理解されない運命にある。
フランス料理が屋台に似合わぬようなものだ。
ハトソンはくすりともせずにこう言った。
「称徳パパ、つまり聖武(しょうむ)天皇の時代に、天皇家の力は
ピークに達するわ。
文化も栄え、国際社会への関わりも増えてくる。
奈良時代、いわゆる天平(てんぴょう)文化ね。
そして、この道鏡事件を境にじわじわと天皇をも上回る巨大な力
を持つ一族がいるわ。」
「巨大な力の一族って・・。
あっ。
もしかして、
『あの世をば、わが世とぞ思う・・』のあの一族?」
「『あの世』だったら死んでるじゃん。
まあ、いいわ。
そう、藤原氏よ。
藤原一族は、奈良時代の次、つまり平安時代の主人公となる一族
よね。
そう考えると・・・。
道鏡事件で得をしたのは藤原氏と言えるかも知れないわね。
ひょっとすると、この事件に藤原氏が関係しているのかも・・。
あっ。
もしかして・・・。」
ハトソンの目が輝いた。
「もしかして・・・って?」
「ホークス。
私たち大きな間違いを犯しているかも知れないわ。
『道鏡を天皇にしなさい。』というお告げ・・。
私たちは頭っからそのお告げを偽物だと考えてきたわ。
でも・・。
もし、あのお告げが本物だったとしたら・・。」
「ええっ!
お告げが本物!?」
ホークス、目玉が飛び出しそうになった。
(ご存じの方は、NHK「プロジェクトX」っぽくお読み下さい。)
「私、もう一度調べなおしてみるわ。
称徳・道鏡コンビと藤原氏の関係よっ。」
ハトソン、ホントに飛び出した。
(つづく)
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夏休み中は短期集中発信となります。
近日発信の次号にもおつき合いあれ。
もっと核心に迫るかも。
ではでは。