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【0】お知らせ
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僕は人知れず、メルマガエッセイも書いてます。
タイトルは「♪」です。
【2】に転載していますので、見てくださいね。
今回は、「銭形平次」に関係しています。
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【1】今回の発信
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下記の【登場人物一覧】と【資料】を今回の発信の参考にして下さ
い。
【登場人物一覧】
●ヒャーヤッコ・ホークス:
冷ややっこ好きのダイエーファン。
町内会副会長。
探偵事務所を開き、数々の事件を迷宮入りさせてきた。
●ハトソン
ホークス事務所の助手。
中年のおばさん。
子どもの頃、伝書鳩に逃げられた経験があり、以来ハトソンと
名乗る。漢字で書けば「鳩損」ね。
それ以外はすべて不明。
●理容「ほしの」のおやじ
町内会会長。
ホークスが好んで通う散髪屋。
話好き。歴史好き。推理好き。
●いまむら氏
「ほしの」で気を失っていた男。
『たの歴』姉妹誌『今日のいきぬき』の作者。
後にメルマガ界の足裏マッサージャーと僕から言われる。
参考↓
http://www.est.hi-ho.ne.jp/imacha
●かみさん
僕のかみさん。
●はいつ
僕。
*登場人物について、詳しく知りたい方は、バックナンバー27
「タランチュラの事件簿」をご覧下さい。↓
http://haitsudeko.hp.infoseek.co.jp/deko/his/27.htm
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第15章 藤原氏の平安京 「じじコン・プロジェクト(5)」
-ホークス事務所、事件録-。
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「さて。」とハトソン様が気どった。
「さて、みなさん。
作者があまりにも引っ張るものですから、焦点がぼけてきました。
ここらで、少しまとめておきたいと思いますの。」
うーん。
たしかに、引っ張りすぎだ。
藤原氏の「じじコン政治」の話で、もう一ヶ月が過ぎている。
その間、読者は着実に減ってきた。
ひえー。
今、これを読んでいるあなた。
あなたは、とても根気強い人なのだ。
職場で、学校で、家庭で、心おきなく威張りちらして下さい。
「解き明かすべき謎は、
『なぜ藤原一族だけが摂関政治の主役となれたのか?』
ということでしたわ。」
うんうん。そうだよね。
なんか、すっかり忘れかけてたなあ。
「憲法、民営化、規制緩和、バブル、海外派兵・・・。
現代の政治課題の多くが、すでに飛鳥や奈良、平安時代に藤原氏
主導で経験されたことであり、その意味で藤原氏が日本の原点で
あるとも言える・・・。
ホークス事務所は、そのように主張しました。」
うんうん。
これも、覚えてる。
「付け加えますなら、明治天皇の皇后も、大正天皇の皇后も藤原氏
ですもの。
これって、昔のことのように思えるかも知れませんが、現在の天
皇のおばあちゃんが藤原氏ってことですもの。
飛鳥から平成までの時を超えた藤原氏の権力・・。
驚きですわ。」
たしかに、すげげっ。
(感嘆の『すげえ』と驚きの『げげっ』の合体語。)
「そこで、私たちは藤原一族の原点のとも言える
『藤原不比等(ふひと)』、
つまり中臣鎌足(なかとみの かまたり)の息子にスポットを当
てました。
彼は、強い天皇、しかし、強すぎない天皇を目的とした律令制度
を創りあげます。」
うんうん。
メルマガでは3週間前だけど、実際にはさっきの話だ。
「さらに、不比等は4人の息子を独立させ、家を持たせます。
そして、競わせます。
ホークスはこれを、
『3匹の子ブタみたいじゃん。ブヒブヒ。藤原ブヒト。』と言いま
したわ。
けっこう、うまいこと言いますわね。おほほほほ。」
げげっ。
笑ってる。
それが気に入らなくてローキックかましたんじゃないのか。
いまむら氏がおそるおそる聞いた。
「あのお。大変恐縮ですが。
今のお喜びのご様子では、先ほどのホークス氏へのローキックは
不要だったと言えるのではないでしょうか?」
「はい。そのようですわ。ついついクセで・・。おほほほ。」
ひえー。
ローキックがクセなの!
おそるべしハトソン。
突然いまむら氏が口笛を吹き始めた。
むっ。「ふるさと」だ。
あまりの怖さに平静を装おうとしてるんだ。
「藤原一族の娘が天皇に嫁ぐ。
そして、男の子を産む。
その子が天皇となれば、藤原氏が天皇のおじいちゃんとなります。
その上で、藤原じじが摂政(せっしょう)になるには、まず
『頼りになるじいちゃん』と天皇から思われることが必要です。」
うんうん。
頼りになるじいちゃんか・・・。
納得だ。
「それには、当時の結婚制度は最適でしたの。
貴族の世界では、夫が妻の家に通うという形でした。
あくまで、通うのです。
一緒に住むのではありませんの。
夫は時々、妻の家にやってくるだけなのです。」
「おおっ。なんてステキな結婚制度だ。
毎日、かみさんの顔を見なくてもいいのですね。」と僕。
「たしかに、ステキと言えるかと思います。
しかし、それが『じじコン』と、どう関係するのですか?」
といまむら氏が尋ねた。
「説明いたしますわ。
生まれた子は、母親の家で育ちますわね。
そこに、父親は不在なのです。
時々、通ってきても、子育てなどしないのです。
そのかわり、と言っては変ですが、母方のおじいちゃんが住んで
います。
おじいちゃんが父親代わりをするのです。
子どもは、おじいちゃんの顔を見て育つんです。
父よりもじじを頼りにしたくなる気持ちもわかります。
『じじコン』の下地は結婚制度にあったのです。」
あっ。そうか・・。
「でも、それまでの摂政は、すべて皇族が独占していました。
聖徳太子、中大兄皇子(なかの おおえのおうじ)などが有名ですわ。
じゃあ、どうすれば、ケライである藤原氏が摂政になれるのか・・。」
ごくり。
次第に僕といまむら氏は引き込まれていった。
「皇族どうしで、ケンカをさせればいいんです。
皇族の間で、お互いを信頼できないという状況を創り上げるのです。
まず、平安初期に天皇と上皇が血で血を洗うようなケンカが起き
ます。
これは、引退した上皇が、もう一度天皇に返り咲こうとしたという
前代未聞の争いです。」
なるほど、平安の大仁田 厚(おおにた あつし)じゃん。
「このケンカの裏には藤原一族がいました。
藤原薬子(くすこ)という女性が、上皇にけしかけたものなので
す。
『残念ながら、最高権力者は上皇のあなたではありません。
弟の天皇が最高権力者です。
おほほほ。さあ、どうされます?』
そんな感じですね。
それで、『薬子(くすこ)の変』と呼ばれているんですの。」
「なるほど。争いの種をばらまく『白雪姫の鏡』ですな。」
いまむら氏が言った。
うまいこと言うなあ・・。
『3匹の子ブタ』に続き、『白雪姫』か・・。
よおし、僕もがんばるぞお。
「藤原氏は、天皇に『身内も信用できない』と思わせることに成功します。
つづいて、皇太子が天皇と争う『承和(じょうわ)の変』も
起きました。
これも、藤原氏の陰謀がうずまく大事件です。
このような流れの中で、藤原氏は天皇家に身内をも見張るスパイ
組織の設置を進言します。
あつかましいったらありゃしませんが、天皇はその話しに乗っちゃ
うんです。
で、できたスパイ組織が『蔵人所(くろうど どころ)』と言い
ますの。
驚いたことに、その長官に藤原氏が就任するのですの。」
ひええ。
天皇家を身内で争わせ、その上でスパイ組織の長官になる。
「天皇家を仲間割れさせ、おまけにスパイ組織まで手に入れた藤原
氏は無敵となります。
極端に言えば、なんだってでっち上げればいいんですからね。
ライバルとなりそうな他の有力貴族達にいいがかりをつけ、排除
していきます。
ある時は上皇の味方、ある時は天皇の味方。
そして、またある時は皇太子の味方につけての変わり身は、まさ
に神わざでした。」
「なるほど、『イソップのこうもり』ですね。」
また、いまむら氏だ。
げげっ。鼻がふくらんでるじゃないか。
くそお。
僕だって、今にふくらませてみせるぞ。
「仕上げに、お子さま天皇を即位させます。
なんと藤原氏が推した清和(せいわ)天皇は9歳ですのよ。
小学年ですわ。
シンデレラボーイと言えば、聞こえはいいですが、
政治のことなんか、出来るはずがありません。
お子さま天皇は、まるでドラえもんを頼るのび太くん状態になり
ます。
ドラえもんには、どんな望みもかなえる4次元ポケットが必要で
す。
この"ドラえもん"藤原"にとって、4次元ポケットとは、なんと、
"のび太"天皇そのものだったのです。
頼る方の"のび太"が実は4次元ポケットだったという、奇妙な現
象。
その奇妙さも藤原氏の思惑通りですわね。
こうして、ドラえもんは、のび太から太政大臣や摂政(せっしょ
う)という最高権力の地位をどんどん引き出していきます。
日本の歴史上初、”皇族以外の摂政”藤原良房(よしふさ)が誕
生したのです。」
なるほど・・。
僕は納得した。
ところが・・。
その横から、いまむら氏がこう言ったのだ。
「ちょっと待って下さい。
たしかに、ハトソンさんのお話を聞いていると、なっとう食える
部分がたくさんあります。
もとい、納得できる部分がたくさんあります。」
ひえっ。
なんてギャグだ。
参考にしよっと・・。
「しかしです。
しょせん、藤原氏がやったことは、『3匹の子ブタ』で、『白雪姫』
で、『シンデレラ』で『イソップ』で『ドラえもん』でしょ。」
ふむふむ。
「そのくらいのことなら、別に藤原氏でなくてもできたのではない
ですか?
自分の娘を天皇に嫁がせるという政略だって、他の貴族だってやっ
ていたことでしょ。
そんな簡単に、聖徳太子の昔から天皇家が独占していた摂政とい
う地位が手に入ったと言うのですか?
天皇家にすれば、血筋によって守られていた地位を手放すことに
なるのでしょ。
それって、自殺行為ではないでせうか?
失礼ですが、がてんがいかないと言えるかと思います。」
ううむ。
たしかに、そうだよなあ・・。
その時ハトソンの鼻の穴が少しふくらんだ。
「ええ。
私たちホークス事務所も同じ疑問にぶつかりましたの・・。
たしかに、摂政という皇族の血を引く者だけが就任できた地位
を、天皇家がそんなに簡単に手放すとは思えません。
なぜ、多くの歴史学者がこのような分析で納得しているのか、
不思議な気持ちです。」
げげっ。
ハトソンの鼻が全開した。
「そして、ホークス事務所は、とうとう行き着いたのです。
霧を抜け、闇を切り裂き、私たちは歴史の真実にたどり着いたの
です。
1000年以上にわたり、日本の権力に関わってきた藤原一族の
謎。
その謎を解いたのです。
結論を言いましょう。
こほん・・・。
天皇家は・・・。
こほん・・・。」
ふひゃー。
もったいぶってるよお。
「私たちが原点を見つめ直して得た結論を言います。
天皇家は、摂政という地位を手放してはいなかったのです。」
げげー。
なんじゃ、そりゃ。
だって、実際に手放してるじゃん。
と・・その時。
「あっ。
なるほど!
そうか・・。そういうことだったのか・・。
わかりましたぞ。」。
と、いまむら氏の声。
彼の鼻も全開だった。
(つづく)
ちなみに、つづきは2週間も待たせませぬぞ。
って、誰も待ってないよなあ・・。
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【2】僕の活動
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今回の紹介は、メルマガ「♪」からです。
よかったらお読み下さい。
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今日の発信:「万七、清吉、そして平次」
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「三ノ輪の万七」親分は、早耳である。
いわゆる情報通だ。
主人公「銭形平次」親分より、一足早く現場に駆けつけていること
だって珍しくはない。
そして、こう言う。
「おうおう、銭形の。
おせえじゃないか。
ここは、この万七様に仕切らせてもらうぜ。(にやり)」
万七様は、かように傲慢(ごうまん)でもあるのだ。
その上、疑い深く、早とちりでもある。
ろくに調べもせずに、島帰りの男を犯人扱いし、たんかを切る。
「やかましいやいっ。
てめえに決まってんだ。
一度やったヤツは、2度やると相場が決まってるんでえ。
つべこべ言うんじゃねえ。
とにかく番屋だ。
うひひひ、白状させてやるぜ。」
で、びっしびし厳しい取り調べをする。
もうめちゃくちゃだ。
でも、ご本人、いたってまじめ、使命感にあふれている。
これが、十手を預かる岡っ引きの勤め。
大江戸の皆のためだと信じ切っているわけだ。
で、尊敬されてると信じている。
まあ、いわゆる「始末が悪い」パターンだ。
この万七さん。
「親分」といわれるくらいだから、「子分」がいる。
名を「清吉」という。
清吉は、こんな親分を疑うこともなく、へこへこついて回る。
手となり足となり、動き回る。
そして、うっぷんばらしのためか、町人相手に、いばる、いばる。
十手をちらつかせ、これでもかってほど、いばる。
まあ、結局、ドラマの中では、平次親分が出てきて事件を解決して
くれる。
だから、安心して、万七親分と清吉を楽しめるのだ。
で・・。
僕はわかった。
遅ればせながらわかった。
アメリカは、世界を相手に100%の「万七」を演じきってる。
アメリカ人ではないですよ。
アメリカという体制が「万七」なのだ。
もちろん、「清吉」もいる。
日本の選択した道、そのものだ。
そして。
とても残念なことだけど・・。
平次がいない。
平次が出てこない捕物帖(とりものちょう)。
これが「国際情勢」だ。
危ないなあ・・・。
正義なんてものは、あやふやなものだと思う。
政治とか、宗教とか、そんなのも、僕にはよくわからない。
でも。
わかることもある。
ほんの少し前まで、イラクは「観光に行ける国」だったってことだ。
そして、日本は、命までを「自己責任の代償だ」と言うような国で
はなかったということだ。
そして。
僕は、その国の一員だ。
娘が言った。
「なぜ、戦争するのん?」
僕は、子ども達にまっすぐに答えられないことをしている。
僕個人の意志がどうであれ、僕が住む日本は、そういう国になろうと
している。
「平次親分」は、国や体制ではない。
子どもへ顔向けの出来ること・・。
そうしようとするその想い、そのものが平次親分なのだろう。
平次の顔を持つ、おとうちゃんになりたい。
僕は、そう思う。
ではでは。
(了)
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