そのメールにはこう書いてありました。
「うちには、ランドセルが2つあります。」
みなさんは、この一文を読んで、どう思われたでしょうか?
小学校に通う子が二人いる・・。
入学祝いで2つもらってしまった・・。
子どもの「わがまま」から2つ買い与えてしまった・・。
いいえ、そうではなかったのです。
実は、このお母さんには小学生の娘さんが一人いるだけだったのです。
そして、この娘さんが入学するときに、ランドセルを1つ買ったのだそう
です。
娘さんは、青が大好きだったそうで、「青いランドセル」を選びました。
そして、楽しみにしていた入学。
しかし、そこで待っていたものは、思いもしないつらい言葉だったのです。
「やーい、男、男!」
娘さんは、そう言われたのです。
クラスメートはもちろんです。
通学・帰宅時には、上級生達からも言われ続けたのだそうです。
青いランドセルを背負っているというだけで・・。
お母さんは、担任の先生に相談しました。
お陰で、クラスメートからの口撃は収まったのだそうですが、
上級生達からの口撃は相変わらずだったそうです。
たまらず、お母さんは、もう一つランドセルを購入したのだそうです。
今度は「赤いランドセル」だったのです。
こんな理不尽な口撃に負けない「強い心を育てる」・・。
そう主張するのは簡単です。
そして、たしかに、それも大切なことなのでしょう。
しかし、考えてみて下さい。
僕らが日常、目にするランドセル売場。
赤やピンクが女の子用、黒や青が男の子用、そんなふうに色分けされてない
ですか?
そう言えば、幼稚園の制服だってそんな色分けがされている所も珍しくあり
ません。
男だから、女だから・・。
そうやって、僕らは社会全体として、いろんな押しつけをし、それを自然に
受け入れてしまっていたのではないでしょうか?
この娘さんが味わった「男だ、男だ」という言葉。
これは、たしかに理不尽きわまりないものだと思います。
しかし、その理不尽さを生み出したものは、確実に僕らが認めてきてしまった
より理不尽な男女観であったのです。
そんなふうに教えてくれた「2つのランドセル」のメールでした。
(了)