新庄選手の移籍はFA(フリーエージェント)制度を使ってのものなのです。
ご存じ無い方のために少しだけ補足します。
プロ野球の選手は、入団時に自分の好きな球団を、完全には選べません。
自分が「巨人軍に入りたい」と思っても、くじ引き(ドラフト制度)で別の球団に
行かされることもあるのです。
そして、入団後も、かなり球団に拘束をされます。
途中で、意中の球団ができても、かってにテストを受けて移籍することはできません。
引退さえ、ややこしいのです。
好きでもない球団に入団させられて、途中の移籍もままならない。
そんな選手がたくさんいるのです。
これでは選手は、たまったものではありません。
そこで、FA制度なるものがあるのです。
選手はある一定期間、一定の条件をクリアし、がまんすれば、球団の拘束から離れ、
自由になれる。
引退まで拘束することはないよ。
そういう制度なのですね。
このFA制度を使って、新庄選手は「夢の大リーグ」へと進んだわけです。
FA制度を使って、過去にもいろんな移籍が行われました。
より環境のいい球団に、地元の球団に、報酬の高い球団に、好きな監督の球団に・・。
その理由は様々です。
選手たちは、自分の思いや個性に応じた選択をし、自己責任で移籍していったのです。
今の教育行政に子ども達のFA制度はあるでしょうか?
公教育は、義務教育である小学校入学時に、選択権をほとんど与えていません。
また、途中での転校すら、その選択権は非常に限られています。
ほとんどの子どもたちが、決められた学校に卒業まで通わされているのが現状です。
入団した選手が引退まで拘束される状況のようなものです。
野球界のFA制度は、今のような形で、はじめから存在したものではありません。
それは、選手が声を出し、ファンやスタッフがその声を支え、球団が認めたものです。
たくさんの子ども達は、声を上げています。
非常ベルを鳴らしている子さえいます。
現場の先生・相談員さん、スタッフの皆さん、そして僕たち保護者は、その声を、
そのベルを、一番近くで聞いています。
教育界のFA制度・・。
それは、「選択責任」を負うという当たり前の行為の第一歩だと思います。
そろそろ、本気で僕らは考えるときがきていると思います。
(了)