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■「保護者卒業の日」-2001/01/12-
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「もう大変。いくら、かかったと思う?」
と、知人のおばちゃんが言いました。
「私の給料の3ヶ月分以上よ。」
おばちゃんには、大学2年生の娘さんがいます。

おばちゃんが給料の3ヶ月分と言っているのは、娘さんの「成人式」の費用なので
す。
晴れ着、美容などの総費用がそのくらいかかった、そう言っているのです。

「でもねえ、一生に一度のことだし・・。
 ちゃんと、しといてあげないとねえ。恥ずかしい思いさせたくないしねえ。」

報道に寄れば、今年の成人式は荒れたところがあったようです。
式の進行を妨害した新成人が逮捕されるという事態も起きました。

成人式には、いろんな思いが込められていたはずです。
おばちゃんのように極端に言えば生活をかけて娘さんを送り出した人間もいます。
すでに自分で生活費を稼ぎ、自活しながら成人式に参加した人もいるでしょう。
そんな様々な思いをふみにじるような行為をした彼らは反省する機会を与えられて
当然だと思います。

ただ・・。
ただ、僕は思うのです。
どうしても「成人式」という儀式、そのものに違和感を覚えるのです。
市長など自治体の長が来賓として招かれ挨拶をする。
芸能人やスポーツ選手、各界の著名人が来賓として話をする。
華やかで高価な衣装、それを当たり前のように身にまとっている若者。

「システム」・・。
その姿に「システム」という言葉が頭に浮かんでくるんです。
僕には成人式が、何だか大きな得体の知れない「社会」というシステムの入り口に
感じられてしまうのです。
権威や権力が用意した見えないシステムの入り口を感じてしまいます。
その入り口から見た社会は生き生きとしているでしょうか?
僕には疑問なのです。

親にとって、子どもが「成人」になる日は「保護者卒業の日」でもあります。
保護者という期間限定の役目が終わる日です。

「おばちゃんこそ、晴れ着を着ればいいよ。」
僕はそう思いました。

(了)



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