児童虐待は何故起こる

 急増する児童虐待を防止するため、衆院青少年問題特別委員会で
超党派の議員立法による法整備が検討されている。(1999.11.13)
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 どの生物も自分の遺伝子を次世代に伝えるべく様々な努力をしています。
それは計算されたものではなくて、本能的に備わっているものです。

 あるテレビ番組で紹介された母猿の話は印象的でした。
その母猿の子は既に死んでいてミイラのようになってたのです。
しかし、母猿はその死体を抱き締め、時には毛づくろいをし、一緒に移動していたのです。
そのシーンは哀れではあるけれども親の愛情という面ですごく感動的でした。

 僕が学生の頃、心理学で学んだことがあります。
「多くの動物の赤ちゃんは似たような顔をしている。」ということです。
赤ちゃんのほとんどは「丸っこい顔」「大きな頭」「少し離れた目」
「顔の中に占める目の面積が多い」「鼻が小さい」などの共通点を持っているのだそうです。

 そして大人の動物は、このような特徴を見ると自然に湧いてくる感情があるんです。
それは「かわいい」とか「守りたい」とかいう感情なのです。
これは同種の赤ちゃんに対する感情だけでなく異種の赤ちゃんにさえ適用される場合があるんです。
だから犬に育てられた猿の赤ちゃんなどの実例がたくさんあります。
人間の母親の場合、赤ちゃんの泣き声を聞くと自然に母乳が出てくるという場合もあるそうです。

 つまり児童を虐待するということは「本能」や「自然の摂理」からは考えにくいことなのです。
ではなぜ児童虐待が急増しているのでしょうか?
また、この問題は「児童虐待防止法」のような法によって防げるものなのでしょうか?

 僕はこの問題の本質は「児童虐待防止法」では捉えられないところにあると思うのです。
僕たちの「本能」や「自然の摂理」が欠けてきているからこそ起きる問題なのです。
少子化が進めば進むほど「種の保存という本能」は子どもを守らせる方向へと進むはずです。
それをさせない、というか逆の方向に進める何かとはいったい何なんでしょうか?

 僕は破壊的、虐待的なテレビ番組がその大きな一因であると思います。
そして「使い捨て消費生活」、これも大きな一因だと思うのです。
毎日毎日「破壊」「虐待」「使い捨て」に接していれば、問題が起きてくるに決まっています。
それで自らの本能を破壊し、子どもを虐待し、気に入らなければ捨ててしまうのです。
今、親となっている世代はこれらの悪影響をもろに受けた世代なのです。

 だから「法改正」レベルの問題ではないのです。
政治家はもっと本質に目を向けるべきです。



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