サウンド・オブ・サイレンス

 僕が教員であった経験を通じて一番感じているのが、職員会議の静けさでした。
これは、9年間、どこの職員室でも同じだったのです。

 ある議題が提出される、そして2,3人の教員が発言する。
それでおしまいなのです。
ほとんどの教員は無言

 僕は教職1年目の2学期に職員会議での発言を記録しました。
驚いたことに、その期間に1度も発言しなかった教員が5人もいたのです。

 では、その間、無言の教員達は何をしていたのか?
もちろん、ぼーっとしていた先生もいました。
しかし、圧倒的に多かったのが、いわゆる「まるつけ」作業にいそしむ先生です。

 子どもにさせたテスト、作文、日記、などの評価、添削などを行っているのです。
それで校長などの管理職から職員会議中の「まるつけ」を中止するように指示がたびたび出ました。
「たびたび出た」、つまり指示が徹底しないのです。

 僕はテストなどは自宅に持ち帰って「まるつけ」をしました。
しかし、それは自宅での家事を妻がやってくれているからこそ可能だったのです。
 つまり妻に甘えていたのです。

では、自宅に帰れば家事をしなければならない教員はどうすればいいのか?
やむを得ず職員会議中にするのです、いやするしかないのです。
(もちろん自分の睡眠時間を削ってしている教員もいましたが。)

 また家事などの負担がなくともテスト、作文、日記などは子どものプライバシーに関わること。
もし、自宅など校外に持ち出し紛失したら大変なことです。
どうしても勤務中に勤務地で済ませたい。

 「自分一人くらい発言しなくても、会議は進んでいくさ。」そんな気持ちもあるでしょう。
(子どもには授業中に発表を促すくせに、、。)

 いろいろな要素が絡まって職員会議中のサウンド・オブ・サイレンスは永遠に続くのでした。

現場教員の余裕のなさを示す場面でした。



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