理工系学部の大学生でありながら、中学1年レベルの数学問題が解けない人がいる。
そんな調査結果が出たのだそうです。
「へえ、うすうす感じてはいたが、今の大学生はそんなにひどいのか。」
そう思い、新聞の記事を見ていました。
「このままでは、科学技術創造立国・日本の足下は危うい」
そんな解説記事が載っていました。
「ありゃりゃ、いつの間に僕は『科学技術創造立国』国民になってしまったんだろう・・。
知らなかったなあ。」
そんなとまどいを少し持ちながら、
「よし、科学技術創造立国の一員として問題に取り組んでやれ。」と挑戦してみました。
幸いにも、調査の元になった問題例も少しですが掲載されていたのですね。
なつかしの因数分解の問題でした。
そして「幸いにも」が「不幸にも」に変わるのに1分もかかりませんでした。
解けないのです。
中1レベルの問題が、解けないのです。
不幸にも、これが僕の数学的レベルだったのです。
(あっ!!
ということは幸いにも僕の数学能力は理工学大学生レベルにまで達しているんですね。)
僕なりの人生において、因数分解を解くことは必要のない能力だったのでしょう。
おそらく、解けなかった大学生にとっても必要としない能力だったんじゃないでしょうか。
彼らは、中学時代なら、きっと難なくその問題を解いていたはずです。
僕も昔は解けていました。
しかし、その後の学生生活において無意識のうちに「不必要」と感じたのでしょう。
だからこそ、解けなくなっていったと思うんです。
もし、必要で繰り返しやっていれば、解き方を忘れようがないと思うんです。
彼らは因数分解という分野を選択して捨てていったのだと思います。
猿から進化した人類が、そのシッポを捨てていったように、、。
そして、シッポの存在さえ忘れてしまったように。
もちろん、ある人にとっては、それは長くのびた象の鼻かもしれません。
なくてはならない能力なのかもしれないです。
別の見方をすれば、
幸いにも今の中学生は、大学の理工学部生さえ解けない問題を解けているんですね。
でも、、。
でも、もしかすると、、。
不幸にも、今の中学生は「なくしたシッポ」の手入れをさせられているのかもしれません。
そして、この調査結果は「義務教育で身につけねばならない能力とは何か」という大きな
問題をも与えているのではないでしょうか。
(了)
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