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■「ピカピカの空気」-2000/12/05-
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12月になりました。
あちこちで、クリスマスツリーを見かけます。
ぴかぴかと点滅するライトが、大人である僕にも「うきうき感」を与えてくれます。
そして、ある日のことを思い出します。

僕には2人の子どもがいます。
上の子が女の子で、下の子が男の子です。

あの日・・。
6才になった娘がその日飾ったばかりのツリーの前に座っていたんですね。
そして、じーっとライトを見つめていました。
何を思ったのか、赤く点滅するライトの、そうですね、3cmくらい上をそっと
両手で包んだのです。
そして、何か大事なものでも抱えているように、両手をそのままで、弟の所にそ
うっと近づいていったのです。
それから、「よくみとくんよ。・・・・ばあっ」っと言って、弟の目の前で、ぱっと手を開きました。

「・・・・・・。」
弟はきょとんとしています。
娘も首をかしげています。

もう一度、娘はツリーの前に行き、同じ行為を繰り返しました。
「ばあっ」
今度も弟はきょとんとしました。
娘は、がっかりした様子で僕の所に来ました。

「おとうちゃん、おかしいよ。」
「何がおかしいん?ちび(娘)は何をしたかったん?」
「うち、ピカピカを運びたかったんや。」
「えっ?」
「ライトがピカピカしてきれいやろ。
 それで、そのピカピカの空気をふうくん(弟)に運びたかったんや。」
「ピカピカの空気を運ぶ?手で?」
「うん、熱い空気も、冷たい空気もうちわの風で運べるやん。
 臭いにおいの空気も風で運んでこれるやん。
 ピカピカの空気も運べるやろ?
 ピカピカの空気は、なんか、こわれそうやから、そっと手で包んだんよ。
 そして、ふうくんの所まで持っていったんやけど、手を開いたらなくなって
 るんよ。
 なんで、ピカピカの空気は運べんのん?
 これ、おかしいわあ。」

僕は絶句しました。
もちろん、僕にはその質問に、はっきりと答える知識も能力もありません。
でも、それだけでなく、なんだかうれしかったのです。
 
光を手で運びたいと思った6才の子。
そして光を手で運べると本気で信じていた子。
この発見がうれしかったのです。

子ども達は、いつも、いろんな試行錯誤の中にいます。
すべての子ども達がその中にいます。
そして、その行為を自然に楽しんでいるように見えます。
それは、僕たち大人が忘れてしまったものに感じられます。

のんびりとした時間に、なにげなく目をやった子どもの行為。
それは、偶然と言うには、あまりにもありがたい体験となりました。
「ピカピカの空気」は僕に「子育てのお得」を教えてくれたようでした。

(了)
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■お礼
皆さんのご協力のお陰で、200号を迎えることができました。
創刊当初の目標を達成できました。ありがとうございました。
今後はメーリングリストなどの方法もとりながら「子育てのお得」
を感じとっていきたいです。その際も、どうぞご協力お願いします。



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