━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】「(再)カンニング」 -1999/12/06-初発信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1999/12/4、長崎市の高校2年生がカンニングを注意されたことを苦に自殺
しました。

僕の娘は小学生です。
公立の小学校に通っています。
娘は入学前に就学時検診というのを受けさせられました。
入学予定の学校で行われる物です。
きっと、どこの小学校でも行っています。
公立ですから合否を決めるものではもちろんありません。

その中に知能テストがあったんです。
娘は幼稚園にも行っていませんし、塾も経験がないですから初テストなんで
す。
もたもたして、とまどっていました。
でも、何だか楽しそうなんですよ。
わくわくしてる様子が見ていて伝わってきました。

楽しいけれど、わからない問題がたくさんなんですよね。
そして、「わかんないなぁ。」って、つぶやいたんです。
そしたら、前の席の男の子が振り向いて言ったんです。
「どこどこ、俺、教えちゃるよ。」
結局、先生が優しく注意して教えてもらえませんでした。

娘は知能テストが楽しかったらしいです。
「また、したいなぁ」って言ってました。
「あの男の子やさしいなあ、今度は私が教えちゃろ。」と言いました。

僕はテストの本質を見た思いがしたんです。
なぞなぞみたいな感じで好きなんですね。
そして、わからないところがあったら教え合う。
娘は、これがいいなあって言ったんです。
でも、大人はそれを「カンニング」と呼んでいます。

自分の子どもや教え子にどんな人間になってもらいたいですか?
テスト中に隣の席の子が頭を抱えている様子を、「しめしめ」とほくそ笑む人間
になってほしいですか?
級友が1点下がることを待っている、自分が1点でも上になりたいと思う子に
なってほしいですか?

僕はなってほしくないです。
だから、テストに点は不必要と思ってます。
けれど、点数付きのテストが現存し、娘がテストを受けていることも事実です。
しかし、僕は娘が持って帰ったテストの点数にコメントをはさむことは絶対にあ
りません。
「先生はがんばって点数までつけてくれているけれど、お父ちゃんには何の感想
 もないなぁ。」
そう言っています。

わからなくて困っている人に教えてあげる、覚えきれないことはメモにしておく。
これは学習の姿勢として絶対に正しいです。
しかし、競争を前提とした点数付きテストの場面では「カンニング」になってし
まう。
その競争は級友さえも敵としてしまう。

点数つきテスト、もういいではありませんか。
本来の楽しいテストを取り戻しましょうよ。
長崎の悲しい自殺を、対岸の火事にしてはいけません。
僕たち保護者の想いと先生方の決意が、教育界を変えます。
まずは年に何回かでもいいです、点数なしのテストを待ってます。

(了)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【4】コラムを今振り返って
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
当たり前のように存在するテストですが、目的はなんなのでしょう。
子どもの頃から、順位、序列に慣れてしまう・・そんな環境を作り
出してはいないでしょうか。

教育というシステムは常に大きな副作用を考えていなければならない、
そう思います。
受験に代表されるテスト、その副作用を、真剣に考えるべきだと思い
ます。

■再発信日:2001/02/22



ご意見ご批判は今すぐメールで送って下さい。
たくさんのご意見が「教育の複眼」を作ってくれると思います。
あなたのご意見はメールマガジンやHP・その他の媒体にてご紹介させていただく場合がございます。
全て匿名(またはペンネーム)で掲載させてもらいます。
【例】:すもも(32才)主婦
もし、掲載しては困る場合がありましたら、「掲載不可」と明記下さい。
それ以外は掲載合意とさせていただきます。

ホームへ       語句別索引へcounter