午前6時○○分、
(1)館内起床放送により起床。
(2)すみやかに寝具整頓。
(3)すみやかに洗顔。
(4)国旗「日の丸」掲揚の上、朝の集い。
これ、何だと思いますか?
どこかの会社の研修プログラムの1部のような気がしませんか。
実はこれ、ある場所での子ども達の活動の1例なのです。
どこだかわかりますか?
なんだか国体級の選手を養成するためのエリート教育みたいな雰囲気もしますよね。
それで、場所はどこかの競技場の宿泊施設、、うーん、はずれです。
正解は「少年自然の家」という施設での活動なのです。
「少年」とついていますが、もちろん少女も含まれます。
上記の活動に「自然」のにおいがしますか?
少年自然の家は公立の施設であり「自然教育」の象徴でもあるのです。
各地にたくさんあります。
山間部、海の近く、自然がたくさん残っているところに建てられています。
そして多くの小中学校が利用しています。
その1日の活動の始まりが「館内起床放送」なんですね。
もちろんこの後「オリエンテーリング」や「冒険の森探検」などの自然と接する活動が続くんです。
しかし、起床は「さあ、さわやかな朝です。おはようございます。」ってテープ放送なんです。
そして時計に合わせて活動が続いて行くんです。分刻みですよ。国旗掲揚までしちゃうんです。
何かが違っているような気がしませんか?
そんな生活なら、日常とあまり変わらない。
「おきなさーい、遅刻するよー」って声で起こされ、3分以内に洗顔すませ、5分で食事。
自然の中の一日は本物の「鳥のさえずり」「小川のせせらぎ」「さわやかな朝日」で始まってほしいのです。
それでは、秩序だった生活がとれないって意見もあるでしょう。
だったら「少年秩序の家」にしたらいいです。
自然の家の先生方はみんなその道の専門家です。
火をおこしたり、竹とんぼを作ったり、草花の知識も抜群です。
それだけに、残念なんです。
もちろん活動は自然の家の先生だけが決めるものではありません。引率担任が責任者です。
しかし、パンフレットの1例に載っているのです。専門家でない担任は従ってしまいます。
そしてその指導方針は文部省や教育委員会が定めます。
自然の家の先生もそれに従わざるを得ないのです。
結局その専門的な能力をフルに発揮できないでいるんです。
「九州アウトドアネットワーク」(以下「アウトドアさん」と記述)というHPがあります。
そこの方からメールを頂き、訪問してみました。
「環境教育プログラムへの道」というコーナーがあり、次のような趣旨のことが述べられています。
「今の子ども達は、いつも建物の中にいる。」
そこで僕は目から鱗が落ちたんです。
飛躍しすぎてアウトドアさんにご迷惑がかかっては申し訳ないので念を押させて下さい。
けっしてアウトドアさんが自然の家に違和感を持っているわけではありません。
以下は僕の勝手な考えです。
僕は「そうだ、自然の家の不自然さは、これだったんだ。」って思ったんです。
僕たち大人、特に教員は自然の中でさえ子どもを「行動管理」しないと安心しないんですね。
本当は「安全管理」だけでいい場面でも安心できない。
精神的には常に「秩序という建物の中に入れて」ないと不安になっている。
だから自然の家の活動は子どもを「自然という建物の中に入れて」いただけなんだとわかったんです。
教員時代の僕はまさにこれでした。情けない教員でした。
先日、近くの川で釣りをしている少年たちを見たんです。
釣り糸をたらしながら、ゲームボーイというおもちゃで遊んでいました。
この子たちも体半分は「建物の中」に残してるんでしょうね。