「おはよう、からの安全(1)」

 1999年12月21日京都市の小学2年生の男の子が放課後の校庭で殺害されました。
犯人は外部から侵入した若い男だそうです。
男の子やその家庭への個人的な恨みではなく、犯行の対象は誰でもよかったようなのです。
大変残念なことですが、このような事件はなかなか防ぐのが難しいですよね。
現在の日本では非日常のことで、僕など想像すらつかなかった事件ですから。
もちろん2度と起きないように現場や行政は考えなければなりません。

 では日常の学校における安全はどうなんでしょうか。

 僕たち保護者の多くは学校が安全だと思っています。
校内暴力やいじめなどの教育問題ではなく、システム的には安全管理がされていると思っています。
もちろん通学中や下校中については交通事故や誘拐への対策などを指導したりします。
けれども、少なくとも学校内は安全だと思っていますよね。
でなければ、恐ろしくて誰も登校させないでしょう。

 では、学校にいる間は本当に安全なのでしょうか。
わが子が通う学校は安全なのでしょうか。
少なくとも校長はじめ教職員は安全に配慮しているでしょうか。
僕は教員時代の経験から、学校の安全配慮を検証する着眼点を紹介したいと思います。
ここではシステムの問題のみに限定していきますね。
一応、教員の目が届いている場合は安全とします。

 その一つの着眼点が登校時刻についてです。
「朝、8時15分までに登校」というようなきまりがどの学校にもあるでしょう。
登校時刻は原則として各学校によって違います。
それに合わせて遅刻しないように子ども達は家を出ますね。
実はこの登校時刻に危険信号が点滅している場合があるのです。

 当然のことですが教職員にも勤務開始時刻があります。
そして、この勤務開始時刻と登校時刻が大きな問題となるのです。

 最悪のケースは子どもの登校時刻の方が早い場合です。
例えば、子どもの登校時刻が8時15分、教員の勤務開始時刻が8時30分なんて場合です。
この場合、厳密に言えば、15分間の無責任時間が毎日毎日続くってことなんです。
教員の中には早めに出勤する先生もいます。
しかし、システムとしては責任機能がまったく成立していないわけです。
 こんなことってないでしょう。
商店で言えばお客さんだけ先に店の中に入れて、店員は15分後にやってくるわけですよ。
どれだけ商品が盗まれたり、壊されたりするかわかったものじゃありません。
また、お客さんの間でトラブルが起こるかも知れません。
ちょっと考えればわかることです。絶対にそんな危険を冒す店主さんはいませんよね。
ところが、子どもの方が早く登校するシステムを採用している学校、けっこう多いんです。
 こういう学校は安全に配慮しているとは言えません。
むしろ安全度外視の危険学校です。

 また、勤務開始時刻と登校時刻が同じという場合もあります。
このケースは少しましですが、やはり、おかしいです。
教員が校区内に住み、子ども達と一緒に歩いて通学するなら意義があるでしょう。
そうでなければ、同時刻の登校も安全に配慮しているとは言えないですよね。

 安全に配慮した学校ならば、当然、勤務開始時刻が登校時間より早いはずです。
教職員がまず学校に来る、そして、子どもの登校を待つ。
当たり前ではないですか?
少なくとも最低10分くらいは教員が先に来るべきですよね。
それを教員の自発に任せるのではなく勤務のシステムとして確立すべきだと思います。

 そして子どもの登校時刻を「○○分まで」と決めるだけではいけません。
ものすごく早くから登校する子がいるからです。
「登校時刻は○○分から○○分まで」として安全管理を徹底すべきです。
これは法律の改正なんて全く不必要です。
校長が決定すればそれでOKなのです。

 「おはよう」と子どもがやってきた時から安全管理は始まるはずです。
それさえもできていない学校ならば、教職員と保護者で改めなければなりません。
職員会議やPTAでの議題にして下さい。

みなさんの学校は「おはよう」から安全ですか?

その2に続きます)



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