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■「どっちが選ぶ」-2000/09/08-
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「教育改革国民会議」という会議をご存じですか?

「国民会議」というくらいだから「国民の代表」が参加する会議かと思うでしょ。
でも、、。
でも、違います。

総理大臣が個人的に選んだメンバーが教育について話し合っている会議です。
だから、総理の私的諮問機関なわけです。

(これって、「看板に偽り有り」じゃないかなあ。)

その「教育改革国民会議」が義務教育の開始年齢を現行の「6才」から「5から7才」
に改めるように提言しました。
今朝の新聞でそのような見出しを1面に見たのです。

僕は
「義務教育は保護者や子どもにとっての選択の幅を広げた方がいい。
 家庭はその選択責任を自覚するべきだ。」と考えてきました。

以前に発信したコラム「(小学校選択1999/12/02)」にも、そう書きました。
 http://www.yukichi.ne.jp/~deko/colums/sentakuseido.htm
ただ、僕は、小学校入学年齢をもっとあげた方がいいという考えなのです。

いずれにしても、今回の提言は就学年齢に関する選択権・責任を家庭に与えてくれるか
もしれない。
そんなふうに思い、詳しく内容を読んでみました。
「原案のポイント」というタイトルで「就学年齢の弾力化」について詳細が載ってい
たのです。

■5才から7才までの幅で、親や学校の判断で義務教育開始年齢を弾力化する。

こう書いていました。
「こりゃあ、まずいぞ。」
僕はそう思いました。

だって、「親や学校の判断で」と明記してありますから、、。
つまり、学校の方からも子どもを選択できるというのです。

たとえば5才になった子を小学校に入学させようとしたとします。

学校がその子や保護者を見て、

「うーん、あなたは今年はだめだなあ。
 来年か再来年あたりから来てくれる?
 もっと、みんなとうまくつきあえるように、しつけてからにしてね。」
なんて、言われちゃうかもしれないです。

そうなると7才で入学した子は
「ひょっとしたら、以前に、学校から入学を拒否された子かも、、」
そんなふうに受け取られてしまうかもしれません。

そもそも、それまで、まったく面識のない子どもたちをどうやって見分け
るんでしょうか?

そして、学校が子ども選ぶということになれば、これは義務教育段階からの
受験戦争のような様相を呈してくるかもしれないです。
学校から「選ばれた子」と「選ばれなかった子」が小学校入学時から出てく
るからです。

義務教育入学時において、学校が子どもを選別する制度が必要でしょうか?
僕は、多くの先生はそのような制度を望んではいないと思います。
どのような家庭環境の子どもであろうとも、自分の責任において「学ぶ喜び」
を体得させようと努力してくれているはずだからです。
学びたい、あるいは学ばせたいという子どもや家庭を追い返すこと、そんな
制度を欲する先生はいないと思います。

何歳で就学させるのか、これは家庭の判断や責任にゆだねるべきで、学校から
排除や制限されるべきものではないでしょう。

就学年齢を学校と家庭、「どっちが選ぶのか」これは非常に重大なことです。

僕は、そういう点に目を向けてくれる人を、「国民会議」のメンバーとして
選びたかったです。

(了)
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■関連コラム項目「義務教育
 http://www.yukichi.ne.jp/~deko/sakuin.htm#gimukyouiku
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