皆さんは「天使、エンゼル」という言葉から何を連想しますか。
僕は次のような絵画の場面がすぐに浮かぶんです。
聖母マリアの腕に抱かれる赤ちゃんのイエス、その周りで祝福するエンゼル。
僕はキリスト教徒ではありません。
しかし見つめ合う母と子の愛情のまなざし、その美しい絆を祝うエンゼルの笑顔の素敵さはわかります。
個人個人で「エンゼル」に対する感じ方はもちろん違います。
ある人は子どもの笑顔そのものを連想するかも知れません。
またある人は恋人との出会いを思い浮かべるかも知れません。
けれどもイエス誕生における母の愛情とエンゼルの関連を否定する人はいないでしょう。
母と子のための「エンゼルプラン」という計画があります。
素敵な名前ですよね。
政府が作ったプラン、政策です。
知らない方はどんなプランかを想像してみて下さい。
僕は、こう想像したんです。
母と子が一緒に過ごせる広場や施設を作り、ふれあいを創出し、その絆を深めるプラン。
どうですか、みなさんの想像とそう違いはないでしょ。
僕は父です、母ではありません。
しかし、そんなプランなら大賛成ですし、施設ならば父としてもぜひ利用したいですね。
では実際の「エンゼルプラン」の中身です。
1999年12月18日、政府は「新エンゼルプラン」を発表しました。
それは次のようなものでした、いくつか並べてみます。
・保育園が子どもを預かる時間帯を早朝まで延ばせるようにする、そういう保育園を1万カ所作る。
・休祝日にも子どもを預かれる保育園を300カ所まで増加する。
・簡単に預けられる一時保育が可能な保育園を倍増させる。
なんと政府の「エンゼル」は母と子を今よりも離すことを目標としているのです。
そして、これが政府のいう少子化対策なのです。
そんな「エンゼル」がいますか?
このエンゼルはなんて言っていますか。
「心配しなくていいよ、どんどん働いておくれ、子どもはいくらでも預かるから。
朝までだって大丈夫。休日だって大丈夫、どんどん産んで増やしておくれ。
増えたらまた預かるよ。」
働く女性が苦労している現状は理解できるつもりです。
そして、子育てとお勤めの両立が難しいこともわかるつもりです。
だから、その対策は政府レベルでも必要でしょう。
しかし、両立問題などが「母と子が離れる機会を増やす」ことでは絶対に解消しません。
むしろ将来の大きな社会問題の火種になる可能性すらあります。
政府が創り出したエンゼルは微笑みながらも導火線に火をつけようとしています。
(その2に続く)