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【1】【ゲストさんコラムその40】------2001/02/09------
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・皆さんからいただいた教育に関するコラムです。
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・みんなで教育コラムの輪をつくりましょう。
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■本日のゲストさんは、「節分の鬼役」さんです。「節分の鬼役」さんは
1/24に僕が発信した「8日目」(ダウン症)から寄稿をしてくれました。
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【タイトル】「LD 学習障害」
【テーマ】LD学習障害と教育
【寄稿者】「節分の鬼役」さん(先生)
【関連コラム】「8日目
 http://www.yukichi.ne.jp/~deko/colums/8days.htm
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教師職初めての若輩者でありながら
12年の6月から特殊学級の担任として任されました。
私の学級は生徒数2人。
そのうち3年生と1年生で編成しています。

ダウン症のメルマガだったのですが、「障害児」を持ってる立場から返信しよ
うと思いました。
別件になりますが、私の学級の生徒の障害について紹介しようと思います。

特殊学級=障害児教育と思いがちですが、
私のクラスでは私生活に妨げになる障害(肢体不自由など)は全くありません。
1年生の生徒は『LD 学習障害』を持っています。
LDと言っても、先に挙げた通り生活に支障はありません。
しかし、ある教科が他の中学1年生よりもかなり遅れているのです。

現在、テレビなどの報道で『LD 学習障害』が取り上げられています。
調べによると、100人に3人から4人の割合で学習障害を持っているといい
ます。
私の学級の生徒は特殊学級に籍を置いてますが、
通常学級(この使い方も問題かもしれませんけど…)にいながらも、
漢字が全くダメ、数学ができない、自閉症だったりと
クラスという集団の中で置いてきぼりを受けている生徒がいるかもしれません。

学習障害は障害と違って、見た目では全くわかりません。
しかし、どうしてもできないものがあるのです。
私の生徒は数学と国語ができません。
数学はまず一桁のたしざんから始まりました。
国語は『〜は』を『〜わ』と書くのです。
この類は全て間違って書きます。
『〜を』→『〜お』、『〜へ』→『〜え』、
小さい『つ・や・ゆ・よ』は大きく書きます。
まずそこから始まりました。
今も書かせると直っていません。そのことだけに相当の時間を注ぎました。
でも難しいです。国語の先生にも助言をいただきました。
解決しません。
私が思うに、その生徒は耳で聞いた音(言葉)をそのまま変換しているのだと思
います。
私たちは何気なく話し言葉の『〜は』など『わ』じゃなく『は』と理解すること
ができます。
そして文字にすることができます。
LD児ではその何かが違うんです。
まだ答えは出ていません。
どうしたら手紙が書けるようになるのか…。

LDの研修で一つの指導の方法として、
『継次処理』と『同時処理』という言葉を学びました。

『継次処理』=一つずつステップを組んで目標に向かう学習方法
これは生徒の板書を写す様子をみているとわかります。
例えば 『大化の改新と中臣鎌足 』
私たちの中には黒板を見て、一度に『大化の改新と中臣鎌足』とかける人、
『大化の改新と』と『中臣鎌足』の2回に分けてノートに写します。
これが同時処理なんです。
いくつかの文字を言葉として変換しています。
そして、LDの生徒は基本的に『記憶』することが弱いんだと思います。
ですから、板書を写すのに
『大』、『化』、『の』、『改』、『新』、『と』・・・
このように一文字ずつ見て写しての繰り返しをするんです。
もちろん漢字の意味は理解してないと思います。
このような生徒がクラスで見受けられたら『継次処理』が有効と考えました。
集団内の同時処理に飲まれては
何が何だか全く理解することができないのです。
私たち教師は知らないうちに『同時処理』の方法で授業を進めます。
ですが、同時処理ができる生徒が全てではないのです。
そして小学校で集団内の一人として扱われたために
特定の教科が遅れたのだと思います。
手立てとして個別指導がもっとも有効なんですが、
30人対1人じゃ、目が行き届きません。
ましてや、体育・技術・家庭科などは他の生徒と同等にこなしてしまうんです。
友達付き合いも中心にまではいきませんが、仲良くしています。
これでは、他の生徒と同等に扱うのは仕方がありません。

まだまだ、LDについて理解が少ないと思います。
LDは脳の障害でもあります。
現在大人となって仕事をしている方の中にもLDがいるかもしれません。
しかし、何故今まで問題にならなかったのか…。
今LD児に個別指導が求められています。

また、その反面、
『LD児』というレッテルを貼って、障害児にしていいのか…。
これも問題です。
私生活には支障はなく、「あの人はLDという障害児だ」と決めてしまうので
す。
どうでしょう、もし周りにLDだと考えられる人がいらっしゃって、
バリバリ働いていられたら…。
その人を『LD』という障害をもっている人にしてしまうんです。

これからもっとそういう子どもがでてくると思います。
その子たちが肩身の狭い思いをせずに生活するにはどうしたらいいのでしょう。
自ずとすみずみまで行き届いた指導が必要になると思います。
そうするためには教員が必要だと思います。

(了)
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【4】編集人ひとこと
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■飛行機のニアミス、おそろしかったですねえ。
管制官の指示に問題があったとのことです。
ところで、僕が子供によく言う言葉があります。
「きちんと、指示通りに行動しなさい!」
うーん、たまには、僕の指示を疑うことを教えることが必要かも。



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