むかし中学校二年の女子生徒から、はいつさんと同じ意見を聞かされました。
彼女は市の統一テスト(これは進学の資料になるものです)を全教科白紙で
出したのです。
それを発見した学年主任はこの行為を物凄く問題にして、「こんなことは許
されない」と担任であった僕にすぐ調査するように命じました。
僕はあまり問題にしていませんでした。たぶん何かの抗議行動だと思ったの
で、そのうちゆっくり話しを聞くつもりでした。
彼女はこう言いました。
「今の学校は変だ。先生たちは一人一人がわかるまで教えているのか。
わからない生徒がたくさんいるのを知っていながら置き去りにしているの
ではないか。
そしてテストをしてわからないものをそのままにして放置する」
「テストって何のためにあるの。
どこが分からないかを調べるためというのなら点数をつける必要はないじゃ
ないか。どうしてテストで教えあってはいけないのか。
教えあってこそ良くわかるのではないか。
一緒に問題を解いてこそどこが分からないかがわかりそして少しでもわかる
ところを増やせる。
今のテストはテストしただけ。
分からない所があってもそのまま。
テストは成績をつけるためにしかない。
そんなテストを許せない。
こう言うテストをやる先生を許せない。
そして分からなくて悩んでいる友達を見捨てて自分だけ良い点を取るなんて
ことは許せない」と。
彼女の抗議は今の学校のおかしさを正確に射抜いた物でした。
「生徒一人一人を大事にする」という教育目標など単なる御題目に過ぎません。
テストという場面で学校の本質はすけて見えるのです。
僕はどう言葉を返して良いかわかりませんでした。
言えた事は「君の言うとおりだ」でした。
あれからもう何年経つのでしょう。
そろそろ20年です。
今も彼女が指摘した問題はそのまま続いています。
(了)
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【4】編集人ひとこと
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■3月になりました。
花の季節になりました。
蜂や蝶が花を求めてくるのは蜜という生命維持のための栄養が大
きな動機だと思います。
人間が花をきれいだと思うこの感覚はどこからくるのかなあ。
本当に不思議です。
そして、なんとなくありがたいことです。
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