━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】「ほめまち世代」-2001/01/18-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妻の実家に行き、その町の銭湯に行きました。
小さな銭湯で、お客さんはみんな自転車や徒歩で来る人ばかり。
だって駐車場なんてないんです。

僕の他には5人ほどの60歳代位の人が入っていました。
僕以外は、みんな顔見知りのようでした。
わきあいあいと湯船の中で話しています。

「うちの孫、表彰されたんやぞ。」
「ほう、また、なんで?」
「俺に似て頭はよくないんやが、ほら、あのボランティアや。」
「おう、ボランティアか!」
「ああ、そうや、ボランティアや。学校のグループでやったらしい。」

僕は、はっとしました。

偶然にも、僕は昨年の12/20に「ほめることは難しい」と発信したばかりだったの
です。
■ タイトル「美智子ちゃんのゴミ拾い」■
 http://www.yukichi.ne.jp/~deko/colums/michikochangomi.htm

「ああ、あの時の自分と同じだ。」
そう思いました。

聞けば、ある民間団体からの表彰だったと言うことです。
表彰されることによって、このように評判にもなり、ますますボランティアの輪が
広がっていくのだろうと思います。
それは、素晴らしいことなのかも知れないです。
そして、その団体のご苦労にも敬服します。

しかし・・。
しかしです。
僕は、何かが違うと思います。

そもそも、ボランティアという行為は表彰されるべきものでしょうか?
また、その行為に選別されるべき高低基準があるのでしょうか?
どのボランティアが上でどのボランティアが下だ、なんてことがあるでしょうか?
僕は「ない」と思います。

この表彰は、もしかするとボランティアのそもそもの動機を濁してしまう恐れがな
いですか。

僕が教員だった頃、指示されなければ活動できない「指示待ち行動」をなくそうと
研修してきました。
一つの方法として、「ほめる」行為により意欲を持たせるという実践をしてきまし
た。

しかし、僕は、思います。
その実践を表面的になぞれば、「ほめ待ち世代」の子どもを作ってしまうかもしれ
ません。
ほめられなきゃ、何もしない。
ほめられるから、する。
結果として、ほめられなければ、不満を持つ、やめてしまう。

そして「ほめ待ち世代」は「指示待ち世代」と同じように、自主性をなくした世代
となるのではないでしょうか。

「俺も孫を見習うか。」
そう言ったおじいちゃんの目は、確かに嬉しそうでした。
でも・・・。

(了)



ご意見ご批判は今すぐメールで送って下さい。
たくさんのご意見が「教育の複眼」を作ってくれると思います。
あなたのご意見はメールマガジンやHP・その他の媒体にてご紹介させていただく場合がございます。
全て匿名(またはペンネーム)で掲載させてもらいます。
【例】:すもも(32才)主婦
もし、掲載しては困る場合がありましたら、「掲載不可」と明記下さい。
それ以外は掲載合意とさせていただきます。

ホームへ       語句別索引へcounter