「学級崩壊」なんてない。(その1)

「学級崩壊」という言葉があちこちにあふれています。
マスコミでもたびたび採り上げられています。
僕も、よくその言葉を使っていました。
はっきりとした定義はわからないのだけれど、何となく感覚的に理解していたつもりだったんです。
 だから、僕のHPでもその言葉を使っていました。

 イメージとしてこんな像がうかんでいたんですね。
「授業中に立ち回る複数の子ども達」
「注意する教師」
「無視して勝手な行動をとる子ども達」
「為す術のない教師」
「授業が成立しない」
このような学級の姿を「学級崩壊」と理解し、言葉として使っていたのです。
今では、とても後悔しています。
僕自身の中で言葉が一人歩きしていたんですね。

今、僕は「学級崩壊」なんてものはない、と思っています。
そう思い始めたきっかけは次のような会話からだったんです。

 僕の知り合いの奥さんが「うちの息子のクラス、学級崩壊してるんです。」と話してきたんです。
息子さんは小学校4年生です。

「えっ、どうしてそう思うんですか?」
「息子が『僕のクラス学級崩壊だよ』って言うんだから間違いないです。」

 僕はこれは大変だなと思いました。
はっきりした定義などない言葉を子どもまでが使っている。
そして、それを自分のクラスにあてはめてとらえている。
保護者までがそれを受け入れている。
僕自身が定義なしに使っていたことを棚に上げて、そう思ったんです。

 きっとこの息子さんはたくさんの人に同じように言ってしまうと思ったんです。
繰り返して言っているうちに「自分のクラスの学級崩壊」は確信に変わるでしょう。
そして担任に対し「崩壊させた教師」との認識を持ってしまうかもしれません。

 まずいなぁって思った僕は息子さんと話をさせてもらいました。
「君のクラスが学級崩壊してるって本当?」
「うん。」
「学級崩壊って、どんなふうになってるの」
「誰も先生の言うことを聞かないんだ。」
「君も聞かないの?」
「いや、僕は聞くよ。」
「じゃあ君以外の人は誰も聞かないんだ。」
「いや、そんなにたくさん聞かない訳じゃないよ。4,5人かなぁ。」
何だかトーンダウンしてきました。
彼は続けました。「だけど、、。」
「だけど、どうしたの。」
「だけど、学級崩壊している証拠があるんだ。」
  
その2に続きます)



ご意見ご批判は今すぐメール
あなたのご意見などはHPやメールマガジンにて紹介する場合があります。
その際はすべて匿名とします。counter

ホームへ       語句別索引へ